オルフェウスの竪琴


まもなく7月7日、七夕です。 日が沈んで暗くなると東の空には、こと座のベガ(おりひめ星)、 わし座のアルタイル(彦星)が昇って来ています。 図1を手がかりに探してみましょう。

こと座になった「琴」は、ヘルメスという神さまが亀のこうらから作った7弦の竪琴だそうです (ギリシャ神話)。太陽の神アポロンがこれを譲り受け、息子のオルフェウスに授けました。

オルフェウスは琴の名手になり、美しい妻のエウリュディケと暮らしていましたが、ある日、 エウリュディケは毒蛇にかまれて死しんでしまいます。嘆き悲しむオルフェウスは妻を取り戻す ために黄泉の国へ旅立ちました。

黄泉の国の王ハデスもオルフェウスの奏でる悲しい琴の音と熱心な懇願に心を打たれ、 妻を現世へ連れ戻すことを許します。しかし、条件として地上に連れ帰るまでのあいだ、 後からついてくる妻を決して振り返って見ないという約束をします。

もう一息で地上に戻るという時、心配になったオルフェウスは振り返ってしまいます。 こうして、結局、妻エウリュディケは黄泉の国へ連れ戻されてしまいました。

悲しいにくれるオルフェウスは最後は酒に酔った女神たちに殺されてしまいます。 あわれに思ったゼウスは残された竪琴を天上に上げ星座としました。

こと座には図2のようなリング星雲があります。二人を記念する結婚指輪でしょうか。 また、こと座のイプシロン星は二重星ですが、よく見るとそれぞれがまた二重星で、 全部で4つの星から成り立っています。ダブルダブルスターのニックネームを持っています。 リング星雲もダブルダブルスターも望遠鏡を使えば容易にみえますので、お近くの 公開天文台で見せてもらいましょう。7月7日のやまがた天文台は「ゆかたで天文台」 と呼ばれる七夕行事をしていいますのでこちらでもご覧になれます。


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図1 7月上旬午後8時頃の東の空
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図2 こと座にあるリング星雲 (提供 NASA)
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