ハッブル宇宙望遠鏡が超遠方宇宙の画像を公開 足元をすっとすくわれて全身を宇宙に吸い込まれて、消えて無くなりそうな 気持ちになることがあります。 そんな気持ちにぴったりの画像が9月25日にNASAから公開されました(図1)。 「ハッブル宇宙望遠鏡による超遠方宇宙の風景」です。 何年も何回もかけてこれまで集めた光を今回集大成して新しい画像を作ったそうです。 まずこの画像でみている範囲が如何に小さい範囲かということを知っておく 必要があります。図2では比較のために満月の像を重ねてあり、その 左下の小さな四角い部分が図1の画像の範囲です。 図1で写っている渦巻きあるいは楕円状の小さなものは全て銀河とよばれる 天体です。 ちょっと復習ですが、 銀河というのは何千万個の星の集まりで、 あるひとつの銀河の中のちっぽけな星のひとつが太陽だということを 思いだしてください。 いかにたくさんの銀河が宇宙にはあるかということを図1は示しています。 ここにはおよそ5500個の銀河が写っているそうです。 そこで空全体の広さを考えて銀河の数を計算してみると1800億個という結果に なりました。 人類が望遠鏡を使って見ることのできる銀河の数は約2千億個と考えれば よさそうですね。 つぎに、ひとつの銀河からの光というのはどれくらいの量なのでしょう。 太陽の光が地表を照らしている明るさと、夜になって、たとえば「おりひめ星」 ひとつが地表を照らしたとしてその明るさをくらべてみると、 太陽の光の1千億分の1がおりひめ星からの光になります。 そのおりひめ星が地表を照らす明るさのさらに250億分の1の光が図1に写っている 典型的な銀河の光の強さになります。そんなに弱い光ではありますが 確実に地表に届いていますし、空を見上げれば私たちの目の網膜にも届いて いるはずです。 最後に、銀河からの光が地球に届くまでに何億年、何百億年という時間が かかっていることも思いだしてください。その間に宇宙は膨脹しています。 図1には(見にくいかもしれませんが)z=として数値がかかれています。 z=8.5と書いてあればzの値に1を足して9.5になりますから その銀河の光が出発したとき、宇宙の大きさが現在の9.5分の1だった ことになります。 気の遠くなるような遠い過去の世界を私たちは見ているのです。 メモ FOV 2.3x2.0 arcsec^2 なので 6.69e-04x5.82e-04=3.9e-7 str = A 写っている銀河数は5500だそうなので 5500x4pi/A = 1.77e11 = 1800億個 m_sun = -26.75 bega mv=0 Flux_sun/Flux_bega = 10^(26.75*2/5) = 10^10.7 \sim 10^11 ハッブルサイトによると銀河の明るさは肉眼で見えるもっとも暗い星の 10bilion 分の1 =10^-10ということでしたのでベガより250億分の1になった。 |
| もくじ に戻る| 図1 ハッブル超遠方宇宙(提供:NASA) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/233-fig1.jpg 図2 図1の範囲の説明図(提供:NASA) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/233-fig2.jpg 参考図:図1のキャプションの内バージョン http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/233-fig3.jpg |