秋の寂しい星座


秋の夜長、月がない夜に、そっと外に出て星を眺めると、 秋の星空がとても静かで落ちついた、でもちょっと寂しい気持ちがしてきます。

夏の星座に明るい一等星が多く、そして、天の川もあってとてもにぎやかでしたが それらは西に傾いています。

秋の星座が頭上にくると、 地球という乗り物に乗って、また巡って来た秋と名づけられたこの方向に懐かしい気持ちもします。

図1をご覧ください。私たちが住んでいる地球は太陽の回りを一年かけて公転しています。 今は、ちょうど秋の四辺形が眺められる位置にやってきました。 これが秋の方向です。 そして、この方角には明るい星がありません。 唯一の一等星がみなみのうお座のフォーマルハウトだけです。 秋の四辺形の4つの星まで、近いもの遠いものありますがざっと100光年から200光年です。 (1光年は光で行って一年係かかる距離です。) 明治時代に星を出発した光を今見ているんかな、などと考えながら見ると、宇宙の広さを改めて実感します。

そうするとフォーマルハウトなんかは25光年ほどの距離ですから、たった25年前に星を出た光を見ているので とても近いような気がして親近感が湧いてきます。じっさい近いだけあって、フォーマルハウトにはその回りをまわる惑星も見つかっています。 親近感はさらに深まります。

もう一つ目立つ星であるくじら座のしっぽにあたるデネブカイトスも図に書いてみました。 こちらまでの距離は100光年です。

実際の夜空でデネブカイトスとフォーマルハウトを探してみましょう。 実はすごく簡単で、秋の四辺形から出発して、二つの辺を南に延長すればみつかります。 図2をご覧ください。いまの時期ですと夜の十時ころ秋の四辺形が頭上に昇っています。 ゆっくりと秋の空をお楽しみください。


| もくじ に戻る|



図1 地球の動きと季節の空
画像をクリック(拡大)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/234-fig1.jpg

図2 秋の四辺形を使った星の見つけ方(Stellariumを用いて作図)
画像をクリック(拡大)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/234-fig2.jpg

図の パワーポイント版
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/234-fig.ppt