3月に入りました。日が沈んで暗くなったら東の空をご覧下さい。 春の星座、力強い、しし座が昇って来ています。 ちゃんと獅子の姿に見えますから、とくとご覧下さい。(図1)
ピンク色で示した部分は、 ?マークを左右ひっくり返したような形をしていて、獅子の頭の部分です。 ここの形は「ししの大がま」とも呼ばれます。 次に、 獅子の心臓に位置する一等星のレグルスが見つかると思います。 そこから下(東)へ目を移すと奇麗な三角形をした獅子のお尻が見つかります。 よくみると、ちゃんと、前足や後足もありますよ。
紀元前500年ごろのメソポタミアの星座を記した文献には、 この部分は、 「ライオン」「王」「ライオンの尾」という三つの星座として 表記されています。一等星レグルスはラテン語で「ちいさな王」ですので、 ここで言う「王」とはレグルスを差すのでしょう。 ライオンは、当時の言葉(シュメール語)では、 ムル・ウル・マクで力強い肉食獣と記載されています。 当時も今と同じでライオンは百獣の王とみなされ、 レグルスにも王の呼び名が与えられたのでしょう。
さらに、エジプトのデンデラ・ハトホル神殿の天井に描かれた天空図 (紀元前50年)には 図2のような「しし座」の絵が描かれています。 星座ファンの目から見ると、ライオン以外にとても気になるものがあります。 それはライオンの下に描かれている「へび」の姿と、ライオンの後足のところに ある鳥です。 現在の夜空をみると図1のように、しし座の南側には、長く「うみへび座」が あります。そしてまだ昇って来ていませんがうみへびのしっぽのあたりに 「からす座」があります。ということは図2の遺跡の絵はしし座のみならず、 うみへび座とからす座を表していたのですね。
しし座とうみへび座の昇る姿を見ながら、 2000年以上も昔の人々と心を一つにして、 春の星座が昇ってくる様子を味わってみてください。