赤外線で見た冬の夜空

冬の天の川は目立ちませんが、カシオペヤ座からふたご
座の足もとを通って、オリオン座の東の「いっかくじゅ
う座」をながれています。有名なオリオン座を見つけら
れれば知らずしらずのうちにその東側にある「いっかく
じゅう座」を見ていることになります(図1)。「いっか
くじゅう」と言うのはユニコーンともいって、馬のよう
な姿をしていて、ネジのような一本の長い角をもつ架空
の動物です。

衛星軌道に打ち上げられた「あかり」という日本の赤外
線望遠鏡がとらえたオリオン座やいっかくじゅう座のあ
たりの画像が図2です。図1と図2は天空上のまったく同じ
場所の画像ですのでよく見比べてください。比較しやす
いようにオリオン座が両方に示してあります。

図1の方は肉眼で見える星座の図です。肉眼で見ている
ので可視光線です。可視光線を出すのは数千度から数万
度の高温の物体ですから、見えるのはたいてい星です。

図2の方は140ミクロンの波長を持った赤外線が写るカメ
ラで撮った写真です。140ミクロンの光を出すのは、摂
氏マイナス100度からマイナス200度の低温の物体、つま
りは、低温の気体や低温のチリです。低温の気体やチリ
が天の川に沿って流れているのこの写真から読み取れる
わけです。赤外線画像で特に明るいところは密度も高く
て星が生まれているところです。また、誕生した星から
の光が回りの気体やチリを押し広げて大きな泡のような
形に見える場所も見えますが、見つかりましたか。

図1
オリオン座のあたりの星々。図2と同じ場所を描いています。

(アストロアーツ ステラナビゲータを使用して作図)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/26-fig1.ppt



図2 赤外線望遠鏡「あかり」が 波長140ミクロンの光(赤外線)
でとらえた冬の夜空。
JAXA提供
(宇宙航空開発研究機構提供)