どんなに隠しても、事実はなかなか隠し通す事はできません。 どこかにしっぽが見えるものです。
強い磁石の力で輝く星があります。 これをマグネターを私たちは呼んでいます。 半径が10kmほどの小さな星ですが、磁石の強さは人類が持つ最強の磁石の千億倍以上です。 人類は頑張っていて、 太陽の黒点は強い磁石になっていますがこれよりも10倍くらい強い磁石を人類は作る事ができます。 なので、マグネターの磁石は天体としてもとてつもなく強い事がわかります。
SGR 0418+5729というマグネターらしき星が今日の主人公です。 きりん座にあります。 以降、親しみを込めてきりん君とよびましょう(図1)。 X線望遠鏡で見ていて突然明るくなってきりん君は人類に存在を知られる事になります。 2009年6月11日のことです。 その後、千分の1ほどに暗くなりました。
普通マグネターであれば自転のスピードの変化を調べるとすぐに磁石の強さが測定できます。 磁気ブレーキのために自転スピードがどんどん遅くなるのが普通だからです。 しかし、きりん君の場合は自転周期約9秒は変化を見せず磁石の強さがわかりませんでした。 2009年以来、 4台の宇宙望遠鏡を駆使し3年半もかけて測定し、最近やっと自転変化がとらえられ、 きりん君の磁石は太陽の10億倍くらいであるとわかりました。これではマグネターではありません。
それでは2009年のX線の増加はなんだったんでしょう。 2009年から3年間のX線を分析したところ図2のように、星の地面の下にとぐろを巻くように 強力な磁界が隠されていて、その一部が表面に顔を出したところがあることがわかりました。 そこから磁界の発するX線が出ていたらしいのです。 X線の出ているところのサイズはわずか160メートルです。 地球からきりん君までの距離は約6500光年ということです。