夏に向かうこの季節、頭上にヘルクレス座が昇っています。 ギリシャ神話中最大の英雄のヘラクレスにちなんだ星座です。 星座名はヘルクレスとなっていますが、物語の中ではギリシャ語の発音によってヘラクレスと呼ぶことにしましょう。 英語の発音だとハーキュリスと聞こえると思います。
ギリシャ神話最大の英雄ですがその活躍は理不尽な難題の解決であり、しかも、 成し遂げた後にはたいてい褒美でなく無評価あるいは逆に仕打ちにあうことが多く、 情けなくなるような物語の連続です。 (なんでこんな話になってしまったのだろう、と思ってしまいます。)
ギリシャ神話によるとヘラクレスの誕生は次のようなちょっと面倒ないきさつによります。 アルクメネのもとに、夫アムピトリュオンが戦いから帰ってくる前の晩のことです。 かねてよりアルクメネに心を寄せていた大神ゼウスは太陽神に夜の長さを3倍にするよう命じ、 アムプトリュオンに化けてアルクメネのもとに通います。そして、その夜、 アルクメネはゼウスの子とアムプトリュオンの子と、二人の子を宿すことになります。 このとき生まれたゼウスの子がヘラクレスです。 このためゼウスの正妻ヘラからの迫害をヘラクラスはずっとうけることになるのです。
ある日、ヘラは蛇をつかわし赤子のヘラクレスを殺害しようとします。 しかし、ヘラクレスはなんなく蛇をつかみ絞め殺してしまったといいます。 別の伝説では、ゼウスはヘラクレスを神にするため、眠っているのヘラの乳を呑ませようとします。 ヘラクレスがあまりにも強く乳を吸ったためヘラは目が覚め、ヘラクラスを払いのけますが、 そのとき乳が高く飛び散り天に登り天の川になったそうです。 それで天の川をミルクの道(ミルキーウエイ)と呼ぶようになったそうです。
その後、テーバイ王によく仕えた功で女王メガラを妻に得て、三人の子をもうけ幸せにに暮らします。 しかし、今度はヘラの送った狂気に冒され、我が子を殺してしまいます。
この罪を浄められて後は、エウリュテウスにつかえることになりますが、これかヘラクレスの十二の難行の始まりです。
あまり楽しい話ではなかったのでお詫びに、ヘラクレス座にあるM13と呼ばれる球状星団の写真をお贈りしましょう。 小さな望遠鏡でもマリモのようなかわいい姿を楽しむことができる星団です。
図1 「銀河の誕生」ティントレット作(ロンドンナショナルギャラリー) できたら、 http://www.nationalgallery.org.uk/paintings/jacopo-tintoretto-the-origin-of-the-milky-way の掲載許可をもらいたいのですがいかがでしょうか。 これはナショナルギャラリーで一般公開されてい画像です。 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/272-fig1.jpg 図2 ヘルクレス座の球状星団M13(撮影:やまがた天文台) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/272-fig2.jpg