満月碑

今月19日は中秋の名月です。みごとな秋の月を愛でることにいたしましょう。 しかも、満月です。えっと、思われるかもしれませんが、 月の形がまんまるいという意味での満月の日と旧暦八月十五日(中秋の名月)が一致するとは 限りません。 お月見の月がちょっと欠けて見えることはよくあることです。 表1をご覧下さい。 4年分を掲載しました。 次回中秋の名月が満月になるのはずっと先にことで、 なんと東京オリンピックの翌年2021年です。


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図1 旧暦八月十五日(中秋の名月)は満月か?

ここで、「満月の碑」を紹介しましょう。 月にちなんだ石碑といえば各地に「二十三夜塔」なとが知られていますが、 この石碑は月というよりは仏教の宇宙観というべきものを刻んだ石碑で、 非常に珍しいものです。 天童市、佛向寺の境内にそれはあります(写真1)。


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図2 満月の碑(天童市佛向寺)

刻まれた文章は、山形は大郷出身の僧、義誉弁良によるものです。 非常に優秀で、山形から江戸にのぼり、 徳川家の学問所のあった増上寺で学び、 学頭にもなった方だそうです。

いつの時代のものか、気になるところですが、 表に嘉永4年8月、裏に嘉永5年3月 (それぞれ西暦1851年8月、1852年4月)と刻まれています。 黒船来航が1853年ですから、いよいよ幕末から明治への変革を迎える前夜という時代です。

時の佛向寺住職が、若い人の学問への意欲増進願い、弁良に依頼して文章を起こしてもらい、 刻んだものということです。 学ぶことへのたゆまぬ努力が山形でも続けられていることに感動させられます。

そこに刻まれた宇宙像についてはまた詳しく調査して別の機会に書きたいと思います。 お楽しみに。

参考
(作花一志・福江純著「歴史を揺るがした星々」および 現佛向寺住職へのインタビューより構成しました。 満月碑について情報をお持ちの方はご一報お願い申し上げます。)


references
図1 旧暦八月十五日(中秋の名月)は満月か?
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/282-fig1.jpg
パワポ
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/282-fig1.pptx
図2 満月の碑(天童市佛向寺)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/282-fig2.jpg