宵の明星が今見えていますが、 まるで隠れていたいとでも思っているみたいに低い位置です。 今年はずっと低空飛行で、低空のままやがて消えていきます。
ところが、次期の宵の明星は2015年春で、とても高く昇ります。 実は、宵の明星は、春は高く、秋は低いと決まってるのです。 なぜでしょう。
宇宙空間に大海原を想像してみてください。 そして、図1のように、 海面に太陽、そして、金星や地球もまるでスイカみたいにプカプカ浮いていると 思ってください。 実際には宇宙に海があるわけでなく、浮力が働いているわけもはないのですが、 太陽やその他の惑星は一つの平面内を軌道運動しています。
私たち地球もプカプカ浮いているので、私たちは揺れる船の上に乗っている のと同じで、 図2のように船の窓からみえる海面がいろいろ傾いて見えます。
海水面と見なした惑星の軌道面(黄道と呼びます)が私たちの立ち位置、つまり、 季節によって大きく変化します。 図3の黄色い線が黄道で海水面にあたります。 秋の黄道は地平線となす角度は小さく、金星の高度は15度くらいしかありません。 しかし、春は黄道が大きく傾いて(図3下)、 太陽から最大離れたとき金星の高度は30度以上に達します。
ドラマの場面で、ヒロインが高く輝く夕方の金星をみて夢を語れば、 ああ春なんだなと感じたりするわけです。 ちょっと、深読みし過ぎでしょうか。
図1 太陽や惑星は一つの平面にあります。 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/290-fig1.jpg 図2 船が傾くと水平面は傾いて見えます。 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/290-fig2.jpg 図3 秋と春では軌道面の傾きが異なります。これが金星の高度に影響します。 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/290-fig3.jpg パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/290-fig.pptx
参考:
もう少し説明すると、、、、 軌道面に対して地球の自転軸は約22度傾いています。 そして、私たちは緯度に応じて北極から離れた位置にいます。 山形なら北緯38度ですので、北極からは52度離れています。 一方、春と秋では太陽に対する地球の位置が180度異なります。 半年分ですね。そのため、夕方太陽方向をみる立ち位置が 図4のようにかわります。秋は軌道面に垂直に近く、 春は軌道面に似た位置に下がります。 すると、地平線は秋には軌道面に沿った方向で、 春には地平線は軌道面と垂直に近くなります。 その結果が、図3のようなのです。