夜の9時ころになると木星が東の空に顔を出しています。 とても明るいのでちょっとびっくりするかもしれません(図1)。 木星は、ギリシャ神話の神々の王ゼウスとされます。 今日は、ゼウスが王になるまでの道筋を追ってみましょう。
この世の始まりはカオスといわれ、 そこからガイア(大地)が誕生します。 このガイアがたくさんの神々の生みの親になります。 十二柱のティタン神族もここで誕生します。 そして、神々の最初の王がウラノスで、惑星では天王星に対応します。
一つ目巨人だの百手巨人だの奇妙で巨大な神がつぎつぎ生まれるのを嫌った ウラノスは生まれてくる子をガイアのお腹に隠してしまいます。 さすがのガイアも腹がはち切れそうになり、子どもたちに父ウラノスを 追い落とす者はいないかと言います。 そこで毅然と立ち上がったのが、 ティタン12神の末の子、クロノスです。 クロノスが惑星の土星に対応します。
クロノスは父ウラノスを去勢し神々の二代目の王となります。 クロノスとレアの間にオリュンポスの神々が生まれます。
クロノスは、「おまえも子どもたちによって滅ぼされるであろう」 という予言を聞くと、恐れて子どもたちをすべて飲み込んでしまいます。 妻のレアは飲み込まれた子どもたちを救い出し、クロノスを滅ぼすため、 隠れてゼウスを出産します。
ゼウスは成長し、そこからゼウスを盟主とするオリュンポス神族と クロノスを盟主とするティタン神族の壮絶な戦いの 幕開けとなります。これはとても面白くかつ奇想天外な話なので ぜひ別の書物などで楽しんでいただければと思います。 ついに、ゼウスが勝利しオリュンポスの神の時代がやってきます。 ギリシャ人にとってはおそらくこれが、 周辺民族からの独立の戦いの記録でもあろうと想像されます。
天王星、土星、木星の順、神の名前で言うと、ウラノス、クロノス、ゼウスの 順に太陽系の惑星が並んでいるのですね。 図2の系図を参考にしてください。
図1 木星の見え方 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/291-fig1.jpg 図2 ゼウスまでの三代の王 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/291-fig2.jpg パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/291-fig1.pptx http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/291-fig2.pptx
参考: