2世紀ごろに書かれたプトレマイオスの「天文学大全」とよばれる 本には現在私たちが使っている星座の多くがすでに掲載されています。 しかし、それまでには長い紆余曲折があったようです。 その例を今見えている星座で確かめてみましょう。
図1は今晩6時頃の夜空です。月がうお座にあって少し見にくいですが、 頭上に秋の四辺形(緑の点線)がきれいに見えています。 ここは、星座絵でもわかるように、天馬(ペガスス)座です。 秋の四辺形は天馬の上半身です。 ペガスス座の南東側(図の左下)はうお座です。 不思議な形をしていて二匹の魚がひもでつながれた形です。
紀元前のメソポタミアで同じ場所がどんな星座になっているかを 調べるといろいろなパターンがあるのですが、そのうちの一つを 図2で紹介します。
二匹の魚は「きたのうお」とツバメになっています。 なんでツバメなんだだろうと不思議な気がします。 図1の南の地平線近くに「みなみのうお」という星座がありますね。 これも古くからある星座で、実はこの「みなみのうお」と 図2の「きたのうお」をペアにして考えていたようです。
図1で魚を結んでいたひもはチグリスとユーフラテスの二つの川です。 川と川に挟まれたところは「野原」となっていて、なんとなく この地方の麦畑を想像させます。 晴れた夜に頭上の秋の四辺形をぜひ見ていただきたいのですが、 天馬の上半身というよりは広々としたメソポタミアの麦畑の方が 納得がいきます。
いつのまにか、 ビールが大好きだったメソポタミアの人々と同じ気持ちになって 天の麦畑に乾杯してしまいました。
図1 12月11日午後6時頃の空 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/294-fig1.jpg 図2 バビロニアの星座(G. ホワイト著「バビロニアの星座」を参考に作図) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/294-fig2.jpg パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/294-fig.pptx
参考: