西の空に見えていた金星はいつの間にか見えなくなっています。 1月11日に太陽とほぼ重なり(わずかに5度北を)通り過ぎていきました。 一方、木星は1月6日に太陽と正反対の方向に来ました。 金星のように太陽と同じ方向に来ることを「合」といい、 木星のように太陽と正反対の方向に来ることを「衝(しょう)」と言います。 木星は衝ですから、日の入りとともに現れ、一晩中見えていて、 日の出とともに西の空に沈みます。 こういった、星の動きを感じながら生活するのもいいですね。
日が沈んで暗くなったら東の空に昇ってきたばかりの木星が見えます(図1)。 異常にまで明るいのすぐにわかります。木星の北(左)側にふたご座の ポルックスとカストルが仲良く並んで見えています。 南(右)側にこいぬ座のプロキオンがあって、木星・ポルックス・プロキオンが 三角形を作ります。もっと、南(右)に目を移せばおおいぬ座のシリウスという とても明るい星があります。 以上を確認したところで、ポルックスからまっすぐ下にあるのが 今日の話題の星座「かに座」です。
とても暗い星の集まりなのですが、古代メソポタミアから 続く由緒ある星座です。図2のように考えてください。 目を凝らしてみると中央の小さな四角形の中に プレセぺと呼ばれるうっすらと雲のようなもの、 通称「蟹味噌」とよばれるもの、が見つけられるでしょうか。
プレセぺという名前はなんとなくかわいくないですか。車の名前にも よさそうですし、喫茶店プレセぺというのがったら文句無しに立ち寄ると思います。
かに座の四角い部分を中国では鬼宿(きしゅく)と呼びます。 死んだら心の部分は魂といい天に昇っていきますが、その入り口のようです。 昔の占いの本を見ると魂宿はすべての祝い事に大吉と書いてあります。 そして雲のように見えるプレセぺは「積尸気(ししき)(積屍気)」と言って、 積み重なる屍からたちのぼる妖気だそうです。 こうなると喫茶店の名前にするのはだめかもしれませんね。 しかし、プレセぺを見つけオペラグラスや双眼鏡で見てその正体を確認してください。 そこは、40個ほどの星の集団でとてもきれいな姿をしています。 ぜひご覧になることをお勧めします。
図1 2014年1月下旬夜7時ころの東の空。 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/299-fig1.jpg 図2 かに座とプレセぺ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/299-fig2.jpg パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/299-fig.pptx
参考: