山に登って「ヤッホー」と叫ぶと、山から反射してきた声が 「こだま」となって返ってきます。 反射する山がいくつかあれば二重、三重に聞こえることもあります。 英語ではこだまはエコーといいます。 カラオケでエコーとかけるとかいいますね。 そこでは、 音の信号をすこし遅らせて、いくつか重ねることで、 声がきれいに聞こえるようにします。
宇宙空間にもこだまがあります。光のエコーです。 光のエコーなんてすてきな言葉ですね。
星が急に明るさを増したとしましょう。 まず、地球から見ていて星が明るくなります。 少しおくれて星の近くの雲が明るくなるのが見えることがあります。 図1をご覧ください。星Aから出た光が目に入ってくるだけでなく 横にある雲Bに反射してから目に入ってきます。 Bを経由して余分に旅していますからそのぶん時間的に遅れてBが光るのが見えます。 他にCの雲があればもっと遅れて光る雲が見えます。 これが光のエコーです。
星が明るくなったり暗くなったり点滅する星の場合は、 まわりの雲が次々に点滅して、光がさざ波のように宇宙を走りますから、 とてもきれいです。 そんな光景が実際に見えるのです。 図2は「とも座」にあるRSという名前のセファイド変光星とそのまわりの雲です。 この変光星は約6週間で明暗を繰り返す星です。 差し渡し2光年ほどのまわりの雲には光のさざ波が走っているのが見えるのです。
もし、ABの間が300光年離れていると光のエコーは300年遅れてやってきます。 私たちの住む銀河系の中心にはブラックホールがありますが、 その近くにある雲が1994年から2005年にかけてつぎつぎに 光る現象がみえました。 そこで分かったことは、 「約300年前にそのブラックホールが強烈に光ったんだ、 その光のエコーが見えたんだ」ということでした。
【参考】 ムービで とも座RS星の さざ波を見たい方はインターネットで http://hubblesite.org/newscenter/archive/releases/2013/51/video/ から見ることができます。
図1 光のエコーが見える仕組み http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/300-fig1.jpg パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/300-fig.pptx 図2 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/300-fig2.jpg 図2 とも座RS星のまわりのさざ波(NASA提供) 参考文献 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/300-ref1.pdf
参考: