今週は天文学会のため東京は国際基督教大学に来ています。 天文学者が一同に会して最新の研究を発表したり議論したりする学会です。 そのなかで、みんなで夢が見れそうな話があったので紹介します。
新しい天文台を作る話です。 口径8メートルの「すばる望遠鏡」が日本が持つ最大の望遠鏡で、ハワイのマウナケア山にあります。 もっと遠くをもっときれいに見たいというわけで、 次に考えられているのがTMT(thirty meter telescope)とよばれる口径30メートルの大望遠鏡です。 建設場所はすばる望遠鏡のすぐちかくになります(図1)。
たとえば、木星の衛星イオにある火山の噴火の様子が見えるそうです。 また、星座を作っているような星に惑星があったとして、それがちょうど地球のような星だったとすれば それを直接的に確認することができます。 宇宙の果ては137億光年先といわれますが、すばる望遠鏡でみつけた130億光年彼方の銀河について、 TMTではその元素や運動の分析が可能になるそうです。
直径30メートルの鏡はとても作れませんので、 対角線が1.44mの六角形の鏡を蜂の巣状に492枚並べて、全体として直径30メートルの鏡とします。 この鏡で宇宙の遠くからやってくる光を集めて検出装置に導くという構造をしています (図2)。 図3は、お話を伺った国立天文台のTMT推進室の青木和光さんとモデルです。
この望遠鏡は、アメリカ(カリフォルニア大学)が中心となり、カナダ、インド、中国が日本とともに参加します。 一番重要な部品である鏡を作るのは日本の分担です。 5月には国際共同の天文台TIO(TMT International Observatory)が設立することが決まっています。 6月から工事がはじまり、最初の観測は2021年を予定しています。 どんな観測結果がでてくるのか楽しみに待ちましょう。
つぎの天文学会は今年の9月山形です。市民向けの行事もたくさんありますのでご期待下さい。
図1 TMTの建設予定地(想像図)(提供:国立天文台TMT推進室) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/308-fig1.jpg 図2 TMTの構造 (提供:国立天文台TMT推進室) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/308-fig2.jpg 図3 TMTを説明する青木和光さん http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/308-fig3.jpg
参考: