図1は、宇宙に浮かぶ巨大なクラゲでしょうか。 左上の笠の部分から右下にながい尾を引いていますが、 良く見ると笠の下にたくさんの触手がたなびいています。 まさしく、宇宙クラゲ。 図2は良く似た本物のクラゲ。
笠の部分はよくみると「うず巻き銀河」とよばれる、数千億の星とガスが渦を巻いている 集団です。 宇宙空間は真空と思っている方も多いかと思いますが、実際は希薄なガスで満たされた海です。 そのガスの海の中をうず巻き銀河が泳いでいるという感じです。 図ではうず巻き銀河は右下から左上に向かって移動中です。
うず巻き銀河の中で超新星爆発などが起こり熱いガスが供給されると、 そのガスはたいていはうず巻き銀河の なかでとどまるのですが、この写真の場合、宇宙空間のガスの海に漏れだしています。 しかもその銀河自身が宇宙空間のガスの中を泳いでいるので、漏れだしたガスが尾を引いています。
銀河から漏れだして、右下へ流れて行くガスの中で、新しい星が誕生しているようです。 それがクラゲの笠から細く伸びる触手として見えています。
宇宙も生きているんだなと感じさせる画像ですね。 この渦巻き銀河までの距離は2億光年、たなびく尾の長さは2万光年あります。 この銀河にもちゃんと名前がついていて ESO-137-001とよばれ「じょうぎ座」にあります。 そして薄いガスの海は実際は巨大な塊になっていて、つまり、太平洋と言えるようなおおきな一つのもので、 それは銀河団A3627と呼ばれています。
図1 宇宙クラゲ ESO 137-001 (提供 NASA) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/311-fig1.jpg 図2 本物のクラゲ(撮影:柴田@加茂水族館にて) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/311-fig2.jpg
参考: