満月に土星が接近

今日は春の満月です。
菜の花や 月は東に 日は西に
(与謝蕪村)
の俳句のとおり、春の柔らかい空気の中で、 東から満月が昇り、 西の空に日が沈みます。 春の満月は「朧月夜」という言葉にあるように春霞が似合いますね。 今日の19時頃には満月を愛でてみてはいかがでしょう。


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図1 2014年5月14日夜7時頃の東の空

ところが今日の満月にはいつもと違った趣向が凝らされています。 よぉーく、見ると。さてさて、月のすぐ左上に明るい星が一つ、 目立って見えます(図1)。 実はこれは土星です。 今晩は、「月と土星が東に、日は西に」というわけです。 ここにも今晩は注目してください。

土星は惑星のなかでは地味な見え方をします。 金星や木星は白くギラギラ明るく非常に目立ちます。 水星は見にくいですが、 とにかくよく動くので目立ちます。 火星は真っ赤でこれも個性的です。 土星はというと、 他の惑星たちに較べて明るくないですし、色は土色で地味です。

バングラディシュに伝わるお話では、土星は太陽の二番目の妻の子ども で家庭内ではいじめにあい、骨折をしてしまいます。 そして、 惑星たちが、王様の前で誰が一番偉いかの争いになったとき、 椅子とり競争をすることになり、土星が負けて、屈辱の日々を送っています。 土星はなんという悲しい運命でしょう。


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図2 カッシーニが撮影した土星(NASA提供)

しかし、望遠鏡の発達した現代では、土星はその輪のおかげでいちばん好かれる 存在です。 やまがた天文台の星空案内アンケートでもいつも一番人気は土星です。 バングラディシュのお話から見ると面目躍如といったところです。 1997年に打ち上げられたカッシーニという探査機は土星にたどり着き、 今でも土星を観測し続けています。 昨年、「カッシーニは東に日は西に」の状態で土星を撮影したのが図2です。 土星の裏側に太陽があり、輪のシルエットがきれいに見えています。 右下の赤く囲ったなかに、私たちの地球も写っています。


references
図1 2014年5月14日夜7時頃の東の空
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/314-fig1.jpg
図2 カッシーニが撮影した土星(NASA提供)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/314-fig2.jpg
パワポ
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/314-fig1.pptx



参考: