銀河というと図1の左のような渦巻き銀河が想像されますが、 右のような銀河もあり、楕円銀河とよばれます。 楕円銀河はのっぺりとした姿で、大きいものは数億個の星を含む、 星の大集団です。
渦巻き銀河はガスが豊富で活発に星が誕生していますが、 楕円銀河は年取った星ばかりから成っていて、 誕生したばかりの星はなく、また、 星の材料となるガスも見当たりません。 年取った星は表面の温度が低く赤く見えるため、銀河全体が 赤く見えます。 そこでで専門家は「赤く死んだもの」と言ったりします。
楕円銀河でなぜ星が生まれなくなってしまったのか、実は良く分かっていません。 そこでたくさんの大型望遠鏡で研究がなされた結果、星の材料となる温度の低いガス (これが冷えて重力収縮すると星になる)が決して無いわけでなく、結構あることが分かってきました。 するとますます疑問が深まります。 星の材料となる冷たいガスがあるのになんで星の誕生が起こらなく、赤く死んだ銀河に なってしまったのでしょうか。
一つのヒントが最近のX線望遠鏡チャンドラの映像(図2)から分かってきました。 楕円銀河の中心にある巨大ブラックホールがいたずらをしているらしいのです。 これらの映像によると、 まず、 巨大ブラックホールが冷たいガスを吸い込んだ後、そのエネルギーの一部を周辺に ばらまくバースト(嵐)を起こします。 そのあと、冷たいガスは周辺に押し出され、吹き出した熱いガスが周辺を暖めます。 図2でも、ブラックホール周辺にはバーストによってガスを押しのけたあとの空洞が見えています。
冷たいガスは周辺に押しやられたり、暖められたりして、集まって冷えて凝縮しして星を形成することが できなくなっているようなのです。 ブラックホールの活動が星の誕生を妨げてしまっているというのがことの顛末のようです。 しかし、これはまだ確実ではないので、 今後の研究の動向を楽しみにしましょう。
図1 渦巻き銀河と楕円銀河(提供:NASA) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/319-fig1.jpg 図2 X線による4つの楕円銀河の映像(提供:NASA) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/319-fig2.jpg パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/319-fig.pptx
参考: