先週に引き続き自由研究のネタです。 準備するものは紙をくるくるっと丸めて望遠鏡のようにしたもの。 それで、夜空をのぞきます。 レンズも何も入っていないので目で見るのと同じようにしか見えません。 これでなんで研究ができるんだろう、と思われるかもしれませんが、 この方法は昔の天文学者もやっていて、れっきとした研究です。
夜空をながめると一気に広い範囲がみえるのですが、 このやり方ですとある決まった範囲内だけが見えます。 見える範囲を一定にするところが肝です。 紙筒をのぞいてその中に何個星がみえるか数えてみましょう。 図1のように一番見やすい高さで、東から西に紙筒を移動させて いろいとな方向で数えてみてください。 方向は星座とかすぐには分からないので、真南を時計の文字盤の12時とみなし、 東の地平線が9時、西の地平線が3時と思って、何時何分の方向としてください。
すると星がたくさんある方向とそうでもない方向があることに気がつきます。 星のたくさんある方向に天の川があります。
一晩だけだと、9時の方向から3時の方向までしか測れませんが、 季節の移り変わりを追っていくと、12時間、全方向の星の数を調べることが できます。 そうして作ったのが図2です。 皆さんは、一晩の観測で、図2の中の右半分(9時から3時まで)を調べることができます。 図2から、円盤のような形をした星の集団の中に私たちが居るのだと想像できます。 天文学者のハーシェルは望遠鏡を使った精密な星の数の測定から図3のような 銀河系の構造を見つけ出しました。 みなさんも自分の測定から形を出してみてください。
紙の筒は細長いと範囲が狭く見にくいですし、太すぎると星の数が多すぎてとても 数えられないので、自分が一番数えやすい太さと長さでやってみてください。 また、自宅の庭、駐車場、などいろいろなところで数を数えると 空のきれいさを調べる環境調査の研究をすることもできます。
図1 観察の方法 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/326-fig1.jpg 図2 方向による星の数のちがい http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/326-fig2.jpg 図3 ハーシェルの宇宙(銀河系の形)(提供:JAXA 宇宙情報センター) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/326-fig3.jpg パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/326-fig.pptx
参考:
stars angle 3 11 2 10 3 9 2 8 2 7 14 6 4 5 4 4 3 3 2 2 1 1 2 25 2 24 3 23 2 22 3 21 3 20 7 19 6 18 4 17 4 16 0 15 2 14 1 13 3 12