地球は大きな一つの磁石のようになっています。 方位磁石を持っていれば方位が分かります。 方位磁石の北を向く方をN極、南を向く方をS極と呼びますので、 地球は、北極がS極、南極がN極になった巨大磁石です(図1)。
磁石には永久磁石と電磁石があります。普段私たちがイメージするのは 永久磁石です。 だから、図1は地球が永久磁石のように描いています。 一方、電磁石というのがあって、電線をくるくる何かに巻き付けて電気を 流すと磁石なるというものです。 これは、磁石をオン・オフできますし、電気の流す向きを変えると N極・S極を逆にすることもできます。
実は地球は電磁石です。 数百万年のスケールで見ると、 実際に地球のN極、S極が何回も入れ替わっています。 すると、図1はあまりいい図ではないということになります。 地球の中心部は流動性の金属(電気を通す)があるためそこで電流が流れて 地球の磁石が作られているようなのです。 地球内部の液体の金属の有無が重要な役割を果たします。
さて、早速応用問題です。月は磁石になっているでしょうか。磁極は動くでしょうか。 この調査によって月の中心部に金属流体があるか、そして、月はどのようにしてできたかの 状況証拠が掘り出せるのです。
そこで、日本が打ち上げた「かぐや」という月探査衛星のデータが活躍します。 現在は月の電磁石はもうありませんが、かつては存在し磁極の反転も起こっていたことが分かりました。 さらに、磁極は移動していたようです。 この解析をした九州大学の高橋太先生から頂いた図2をみると、現在とは違った場所に過去の磁極の位置が示されています。 これらの知識を元にしてさらに月のでき方の研究が進むことでしょう。
図1 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/331-fig1.jpg 図2 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/331-fig2.jpg パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/331-fig.pptx
参考:
磁場で捉えた月のダイナモと極移動の痕跡 /Users/shibata/Desktop/ss/public_html/yamashin/331-doc.pdf 地磁気の反転:/Users/shibata/Desktop/ss/public_html/yamashin/05_11_07.pdf