ぴっ、 ぴっ、 ぴっ、と1秒くらいの周期で光のパルスを出す天体(星)があります。 私のお気に入りの天体でパルサーと呼ばれています。 光をビームにして出すので、星が自転すると、 光のビームがこっちを向いた時だけ光って見えます。 光の点滅の周期がその星の自転周期です。
でも、パルサーよりも人気があったり、興味を持たれる天体がブラックホールです。 パルサーから見ればライバル天体です。
遥か遠くの銀河の中にあって、 X線で異常に明るい天体として、 天文学者の間で「超高光度X線源」という名前を持つものがあります。 たくさん見つかっています。 こういった異常に明るい天体があると、 それはブラックホールだろうということになり、 それなりに理論も作られます。 すると人々は、「超高光度X線源」はブラックホールに違いないと思うようになります。
そこで今日登場するのは、「ニュースター」という名前を持つ最新式のX線望遠鏡(図1)で、地球の周りを 廻っています。 従来よりも高いエネルギーのX線で画像をとれるのが特徴です。 画像だけでなく、スペクトルや時間変化も上手にとらえます。
先週発表された報告によると、 銀河M82をニュースターで観測したところ(図2)、 中心部にあるブラックホールだろうと思われていた「超高光度X線源」が なんと1.37秒周期で点滅していたのです。 そうなのです、これはブラックホールでなくてパルサーだったのです。 私のお気に入りは、ブラックホールでなくてパルサーなのでちょっと嬉しい感じがします。 でもこんな表現は科学的でないので慎まなければいけませんね。
なぞの「超高光度X線源」の一部はパルサーなのでしょう。 新しい望遠鏡ができると新しい発見があります。
図1 X線望遠鏡ニュースター(提供:NASA) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/337-fig1.jpg 図2 銀河M82のX線映像(左:全体、右:中心部 X2がパルサー)(提供:NASA) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/337-fig2.jpg 左 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/337-fig3.jpg 右
参考:
Nature vol 514 page 202/ 9 Oct 2014