カシオペア、ペルセウス、プレアデス星団の星の連なりにまつわるお話です。
むかしむかし、小高い丘の上に村がありました。 村長の息子ムサは、 お金や土地の権利のことばかりに心が奪われている人々に囲まれて なんともいえない寂しい気持ちで暮らしていました。 ある日、ムサは、 丘の斜面をちょっとした油断で転がり落ちてします。 そして谷底の木の上に小さなヒワの巣を見つけます。 そこではヒワのお母さんが卵を温めていました。 この前の嵐のせいで巣は痛んでいたので、 ムサは気持ちよく暮らせるように巣を修理してあげました。
ある時、ムサの寝床にきれいな木の実が飾られていました。 こんなきっかけでヒワのお母さんとムサは互いに思いやる間柄になっていきました。 鳥と人間では互いの気持ちはことばでは伝えられませんでしたが、 二人はともにやさしい心の気持ち主であることはお互いに分かっていたようです。
何年か後、ヒワの命は短く、ヒワのお母さんは天に昇って星になりました。 そして、また、何十年かたって、 村長になったムサにも臨終のときが近づいたある夜のことです。 美しい姿のヒワの姫が、ムサを星の世界から迎えにやってきました。 ムサにはそれがだれだかすぐに分かりました。
天に昇ったムサは、天の丘の上に立つと、すっと丘を転げ落ちて、 宝石箱のような天のヒワの巣に滑り込みました。 そして、いまでは二人仲良く天のヒワの巣に暮らしているということです。
図1は今晩、7時頃の北東の空です。天のムサの降り立った丘、 丘の斜面、宝石箱のような天のヒワの巣がきれいに見えています。 探してみましょう。
図1 11月上旬午後7時ころ北東の空。 (右下の写真はプレアデス星団:提供:NASA) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/339-fig1.jpg パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/339-fig.pptx
参考: