春の天文学会 3月24日から27日までの間、日本天文学会が東京で開催 されました。全国から天文学の研究者が集まり研究発表や 討論をしました。また、「天文教育フォーラム」といって 小学校や中学校の理科の中でどううやって天文や宇宙の ことを教えるかを議論したり、高校生・中学生がひごろの 研究を発表する「ジュニアセッション」もありました。 山形大学からも研究発表が行われています。滝沢元和助教 のグループは銀河団についての研究を発表しました。 大学院生の田中誠さん、菅原知佳さんも銀河団について発表しています。 また、わたし自身の研究グループではパルサーとよばれる 天体のコンピュータシミュレーションによる研究成果について 大学院の和田智秀さんが発表しました。 パルサーは半径が10キロメートルくらいしかないちっぽけな星ですが、 質量が太陽と同じくらいある星です。この星の自転周期は 早いもので数百分の一秒、遅いものでも数秒でものすごい早さで 自転しています。地球もそうですが星は磁石になっています。 パルサーはずば抜けて強い磁石です。磁石が回転しているので 発電作用があります。この発電は巨大で、パルサーが1秒間に発電する電力で 人類は100億年も暮らせるほどです。 その発電の作用でパルサーからはX線やガンマ線が出たり、 超高エネルギー粒子が出てきます。その様子をコンピュータの 中で再現することに私たちの研究チームは成功したのです。 このパルサーからの光を実際にみることができます。 暗い空と口径が20センチメートルくらいの望遠鏡があれば大丈夫です。 おうし座の「かに星雲」の光がそれなのです(図1)。写真で青白く見える 光がありますね。これがパルサーの発電作用による光です。 今の時期なら日が沈むころ、やや西に傾いた位置、おうし座の「つの」の 部分にこの「かに星雲」がみえています。 図1 かに星雲 (国立天文台提供)