月の形について考えたいと思います。
おそらく一番重要なのは満月とその前後の月だとおもいます。 夜に家を抜け出してデートするとすれば、 月明かりがたっぷり朝までいただける満月がとてもありがたいです。 デートでなくても、野外の作業も月明かりがあれば遅れの挽回が可能です。
「菜の花や月は東に日は西に」という与謝蕪村の俳句のように、 日が西の空に沈む頃、大きな満月が東から昇ってきます。 真夜中には満月は南の空高く昇り、朝まで夜を照らし続け、 「東(ひむがし)の野に炎(かぎろひ)の立つ見えてかへり見すれば月傾(かたぶ)きぬ」 という万葉集の和歌のように、東の空から日が昇ってくるころ、 月は西の空に沈んでいきます。 「有明の月」も似た状況で、 明け方になって、空に取り残されている月です。 日が昇ると、やがて白く見えるようになるような月です。 図1でそれぞれの位置をご確認ください。
一方、西の空に太陽が沈むころ、太陽のすぐ上にみえるのが三日月です(図2上)。 美人の眉をイメージして恋歌にも出てくるのが三日月です。 三日月はすぐに沈んでしまい、その夜は月を見ることがありません。
新月の三日程前に見られる二十六夜や二十七夜の月は 三日月型の月です(図2下)。 こちらは太陽が昇る直前に東の空に三日月と同じような形をした月が昇ってくるものです。 芭蕉の俳句に「あけゆくや二十七夜も三かの月」というのがその様子を表しています。
旧暦の七月七日は七夕ですが、これはついたちと十五夜の中程の日ですので、西の空に 日が沈むと南の空に半月として見えます。 これを天の川を渡る船にみたてたりします。
このように、 時間を変えていろいろな月を楽しめることがわかります。 いつの時間にどの方向に月を見つけられるのでしょう。 どんな規則がそこに潜んでいるのでしょう。 次回は簡単に月の見える方向と形を理解する方法を説明したいと思います。
図1 満月の見える方向 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/361-fig1.jpg 図2 三日月型の月の見える方向 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/361-fig2.jpg パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/361-fig.pptx
参考: