図1はガスの渦の中で二つの星が出来ていいく様子です。 左の写真はアルマ望遠鏡で撮影した実際の星とガスの様子、 右はコンピュータシミュレーションによって描かれた画像です。 このように、宇宙の様々な観測結果はただ見ているだけではよくわからないので、 結果を解釈するためのコンピュータによる計算をして、 比較することで観測結果を正確に理解できます。
いったいどのようにしてコンピュータによる計算をしているのでしょう。
デジタル化が一番重要なポイントになります。 例えば簡単な例で、図2のような気温の分布があったとします。 グラフに示されているようななめらかな温度変化をコンピュータは扱えません。 そこで、考える点をア、イ、ウ、エ、、、というように限定し、 Xで示した点の温度だけを扱うことにします。 そして、それ以外の中間的な場所を考えないことにします。 すると各点の位置と温度の表ができます。 これがデジタルデータです。 図2の右のように単なる数字の列で、 実際の計算ではデータ数は数億を越えるような数になります。
図2ではア、イ、ウと温度が右に向かって減少しているので、右方向に熱が流れます。 ア、イ、ウの温度の傾きを比較すると、 アからイに向かう熱量は、イからウに向う熱量に比べてすこしだけ多いことが分かります。 結果的には、イの温度は今後少し上昇すると予想できます。 このような現象を計算式で表し、現在のア、イ、ウの温度から、たとえば一秒後のイの温度を 計算します。 同様の計算を何億という点について行います。
図1右の表のようなデジタルな温度分布から一秒後のデジタルな温度分布が計算できます。 計算をくり返すと現在の温度分布から一日後、そして一年後の温度分布も求められるでしょう。
実際は風が吹いていたり、太陽の熱が加わったりと色々あるでしょうが、それらすべてを表す関係式を準備しておくことで 温度、ガスの動きや密度などを時々刻々と計算することが出来るようになります。 いい結果を得るためには、データ点を出来るだけたくさん増やすこと、 計算式を自然法則を正確に表現するよう工夫すること、 そして、できるだけ高速の計算機を準備することということになります。
宇宙に限らず天気予報なども同じです。
今やコンピュータは天文学に欠かせない道具になってしまいました。
図1の結果は、岩手県の奥州市にある国立天文台のスーパーコンピュータによって計算されたものです。
references
図1 アルマ望遠鏡がとらえた双子の赤ちゃん星の誕生過程とそのコンピュータシミュレーションによる再現 (国立天文台提供) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/369-fig1.jpg 図2 デジタル化の仕組み http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/369-fig2.jpg パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/369-fig.pptx
参考: