「色メガネをかけて見る」というと、 あらかじめ特別の見方をする、偏見で見るといった、 悪い意味を持ちます。 しかし、天文学では違った色で見ることは良いことです。 赤いメガネで見ることは低い振動数の光でみることですし、 青いメガネで見ることは高い振動数の光で見ることです。
光の振動数はさらに幅ああって、非常に低い振動数の光は電波と呼ばれ、 テレビや携帯電話の回線に使っています。 また、非常に高い振動数の光はX線やガンマ線と言われ、破壊力もあって放射線として扱われます。 天文学者は、電波望遠鏡、可視光望遠鏡、X線望遠鏡、、、といた色メガネを使って観測します。
宇宙には電波を出す天体もあれば、可視光、そしてX線・ガンマ線を出す天体もあります。 しかし、それらの光は地球上にみんなやってくるわけでなく大抵は地球の大気で吸収されてしまいます。 どの種類に光がどれくらいの高さで吸収されるかを表した図を「大気の窓」の図とよびます(図1)。 図を見ると例えばX線は高度70kmくらいでストップすることがわかります。 地上まで届くのは電波と可視光だけです。 太陽は強いX線を出していますが、地上に届くことはありません。
地上にある可視光望遠鏡は宇宙からの光をとらえることができるので図2のような銀河の姿を写真に撮ることができます。 人工衛星として打ち上げられたX線望遠鏡でみると、全く同じ場所が図3のように写ります。 図2では横に伸びた円盤状の星の群れが見えていますが、 図3では銀河中心にある正体不明な不思議な天体から上下方向に吹き出している高エネルギーのガスが見えています。 このように、振動数の違う光、つまりは、色メガネをかけて天体の違った側面を見ることが非常に重要ということが分かります。
図1 大気の窓 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/370-fig1.jpg 図2 M82銀河の可視光画像(提供:NASA) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/370-fig2.jpg 図3 M82銀河のX線画像(提供:NASA) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/370-fig3.jpg パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/370-fig.pptx
参考: