夏の土用
土用丑の日のうなぎは無事お腹におさまりましたでしょうか。
ここで土用という言葉は、土用波、土用干しなどにも現れて、
気になることばです。
土用には天文学的な意味があるので紹介します。

季節の変化は太陽の位置の変化によって起こると理解できます。
太陽がもっとも高くなる夏至、逆にもっとも低くなる冬至があります。
また、その中間地点が、春分と秋分です。
太陽は真東に昇り、真西に沈みます。

太陽の高さは暑さ寒さをもたらしますので、
この4つの重要なポイントの繰り返しが季節循環をはかるときの物差しになります。
これを時計の文字盤のように円形に描いたのが図1です。
ただし、図1で半時計回りに日が進みます。

一方、「土」の方は、「木火土金水」五行の一つです。
昔の中国の思想で五行説というのがあって、
万物はこの五要素で成り立っていると考えています。
それで、季節の巡りも五行が現れていると考えます。
しかし、季節は4つ、要素は5つですので数が合いません。

春は木のイメージ、夏は火のイメージ、秋は金のイメージ、
冬は水のイメージで大変良いですね。
さて余った「土」についてはどう考えるのでしょう。
昔の人は、
土の性質は四季に通じ、均等に割り振られていると考えました。
やや苦しい感じがしますが、とにかくそう信じられました。

そこで、 各季節の最後の5分の一を土用とします。
図1の茶色で薄く塗った部分です。
図を見るとわかりますが、立春、立夏、立秋、立冬の前の18日から19日間が土用になります。
天文学的には、春分の日から太陽の移動角度が、27度、117度、207度、297度である日が土用の入の日と
定められています。

結果として、立秋の前の夏の最後の18日から19日間が、ちょうどいまの時期が夏の土用ということになります。
本当は春の土用など各季節に土用はありますが、なぜか、夏の土用だけが現在も生き残っています。
うなぎのせいでしょうか。
今年は、8月8日が立秋で、夏の土用が終了し、秋に入ります。






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図1 季節の巡りと土用 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/376-fig1.jpg
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図2 季節の写真があると良いですが、、、、あるいはうなぎ? とくに私からは提供無しです。 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/376-fig2.jpg
本文終わり
references パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/376-fig.pptx