星までの距離2 アンドロメダ銀河までの距離は230万光年などと話すと、 「そんなに遠くのものの距離をどうやって測ったのですか」とよく聞かれます。 そこでまず復習ですが、星の世界を考えるときの距離の単位は何だったでしょう。 地上でいうとちょうど歩巾に相当する単位が、宇宙では「光年」です。 光が一年かかって進めるきょりです。1光年は約9.5兆キロメートルです。 その230万倍の距離にアンドロメダ銀河があります。 千光年くらいの距離でしたらこのシリーズの第18回で、視差を利用して距離を測定 できることを紹介しました。星座をかたちづくる多くの星についてはこの方法が 使えます。 ところで、星の中には明るさが一定でなくて周期的に変化するものがあります。 つまり、星の明るさが周期的に明るくなったり暗くなったりするのです。 変光星と呼んでいます。この変光星の中でも特に「セファイド変光星」と 分類されているものがあって、この種類の星たちは振動周期と星の平均の明るさ が関係していることが知られています(周期光度関係)。 例えば、周期が1日くらいのセファイド変光星が300光年くらいの距離にあると だいたい平均の明るさは2等星くらいだといったことがことが知られています。 もし、これとおなじ周期、つまり周期1日のセファイド変光星を見つけたの だけどそれが7等星くらいにみえたら、これは300光年よりも遠くにあって、 そのためにみかけのうえで暗く見えていると察しがつきます。 これをヒントにその星までの距離が分かってしまいます。 実際の計算はちょっとたいへんですがこんな感じです。 7等星は2等星にくらべて5等級暗いのですがこれは光の量に換算すると100分の1です。 光の量が百分の1になっているということは距離は10倍遠いことになります。 2等星に見えていた星は300光年でしたから、この星までの距離は3千光年です。 むかし、ハッブルという天文学者はアンドロメダ銀河にセファイド変光星を見つけ この方法でアンドロメダ銀河までの距離を求めました。 図1 アンドロメダ銀河 (提供:国立天文台) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/38-fig1.jpg 図1 セファイド変光星は周期と見かけの明るさから星までの距離を計算できます。 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/38-fig2.ppt http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/38-fig2.jpg