宇宙膨張
「宇宙は膨張し続けている」という話を聞いたことがありませんか。
知っているとかっこいい事実ですが、
その本当の意味と問われれば、ちょっと心配になるかもしれません。

図1は、銀河と呼ばれる星の大集団です。
星の集団が渦を巻いていますね。
でもこの写真をよく見ると、
この大きい銀河の向こうに、
遠景としてたくさんの銀河が同時に写っています。
まず気がつくのは黄色い点線で囲った銀河です。
さらに目を凝らしてみると、緑の点線の中にも小さい銀河があります。
本当はもっと大きな立派な銀河なのですが、遠くにあるので小さく見えています。
おそらく何十億光年も遠い銀河でしょう。
これに気がつくと、点のように写っているのはみんな銀河で、
この写真の中に実際百個以上の遠方の銀河が写っています。
このように宇宙空間にはたくさんの銀河が存在します。

私たち太陽系も一つの銀河の中にあって、その銀河を「私たちの銀河」とか、
「銀河系」と呼んでいます。

私たちの銀河のすぐ近くにお隣の銀河があり、さらにその向こうに次のお隣の銀河が
いますので、図2のような図を考えることができます。
本当の銀河は等間隔に並んでいるわけではありませんが、
ここでは、分かりやすくするために等間隔に描いています。
要するににいろんな距離のところに銀河がばらまかれているということです。

宇宙が膨張するということは、図2のように時間が経つと銀河の間隔がどんどん広がっていくことです。
むりやり力を加えると話は別です。
たとえば、たまたま近くにいる二つの銀河が万有引力で引き合えば、互いに近づきます。
しかし、なにも特別のことをしなければ、自然に銀河間の距離が広がっていきます。
これを宇宙膨張と言います。

銀河の位置に灰色で定規の目盛のようなものを書きました。
定規がゴムでできていて伸びているようなものです。
このように伸びていいく目盛を考えることができて「共動座標系」と専門家は呼びます。

ここで紙面が尽きたので、次回はなぜ膨張していることに人類が気がついたかについて書きたいと思います。




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図1 しし座にある銀河(NGC 33370)の写真(NASA提供) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/388-fig1.jpg
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図2 宇宙膨張の様子 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/388-fig2.jpg
本文終わり
references パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/388-fig.pptx