ブラックホール型照明器具 先日、国立天文台に仕事で出かけた帰り、コーヒーショ ップでブラックホールを発見してしまいました。という とビックリですが、写真1のようなものを見つけたので す。これはブラックホール周りとそっくりなのです。 ブラックホールは重力で周りのガスを吸い込む蟻地獄の ようなものです。光も吸い込むことができるのでその名 前が付いています。それなのに写真のような照明器具が ブラックホールとはどういうことなの、という疑問の声 が聞こえてきそうです。 ブラックホールにまわりからものが吸い込まれるとき、 吸い込み口のブラックホール本体は小さいので、吸い込 まれるガスは途中押し合いへしあいして、やっとのこと で吸い込まれる感じになります。この吸い込まれる途中 にすごい摩擦があり、発熱してガスは数十万度の高温に なります。そして明るく光ります。しかも、ブラックホ ールの周りをグルグルと回転しながら吸い込まれてゆく ので円盤のような形になります。 というわけで、ブラックホールのまわりは内側ほど明る く輝く円盤になります。それで写真1とそっくりな姿に なるわけです。もっとも明るいところでは非常に高温で あるためX線が出ます。山形大学でもそのようなX線を とらえる装置の開発をしています。 おまけ、なのですが、円盤に垂直に上下にガスの噴水の ようなジェットと呼ばれるガスがでることが観測から知 られています(写真2)。なぜ、吸い込まれるときに同時 に噴出が起きるのかはまだ謎です。写真1でも円盤に垂 直に筋が出ているのがまたうれしいです。 写真1 ブラックホール型照明器具 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shiata/yamashin/40-fig1.jpg 写真2 ケンタウルスA とよばれる銀河の中央には巨大ブラックホールが あり、そこから出てくるジェットがとらえられた(X線)。 (提供 NASA チャンドラX線望遠鏡) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shiata/yamashin/40-fig2.jpg