Astro-H 打ち上げ間近
そろそろ胸がドキドキし始めています。
たぶん私自身も使わせていただくことになろう日本のX線望遠鏡が種子島宇宙センターから打ち上げる日が近づいて来たからです。
現在予定されている打ち上げは2月12日17時45分から18時30分の時間帯です。
とにかく無事、人工衛星としての軌道に乗ることを祈るばかりです。
図1は望遠鏡の全体像です。
望遠鏡の最大の役割は天体から来るわずかの光を一点に集めてくることです。
普通は凸レンズや凹面鏡を使って光を集めます。
現在計画されている大望遠鏡は直径が30メートルもあります。
しかしこれは光(可視光)の望遠鏡の話です。
X線はレンズで屈折しませんし、鏡に当てても反射してくれません。
病院でおこなうX線撮影(レントゲン)は一点からX線を出してその影を写す方法なので、
カメラのようなレンズは使いません。
非常に原始的な装置です。
しかし、
なんとしても宇宙から来るX線を集めたいということで
ウォルターさんが考案した方法を使います。
それはつるつるの金属に非常に浅い角度でX線が入ってくると反射を起こす現象を利用します。
図2に断面図がありますが、左から入って来たX線(赤線)が金属面(鏡)でかするようにして
反射して、金属面がタマネギのように多層につくってあるために、一点に集まり、
結局は全体として凸レンズのような役割をすることが示されています。
このX線望遠鏡は図1でSXT と HXT で示されていて、全部で4本の望遠鏡が束になっています。
SXTはエネルギーがおよそ10キロ電子ボルト以下の軟X線用、HXTはそれより高いエネルギーの硬X線用です。
いずれも直径が45センチメートルで、SXTの方が焦点距離が5.6メートル、HXTの方が12メートルもあります。
焦点の位置にそれぞれX線の検出器がおかれていてそこでX線をとらえて分析します。
焦点距離が長いので衛星全体の長さも約14メートルあります。
望遠鏡の直径が45センチメートルとは小さいとお思いかもしれませんね。
たしかに、直径が1メートルもあれば、皆大喜びですが、
これでも望遠鏡は2.7トンの重さがありロケットで上げるのは大変です。
費用はおおそ400億円です。
大きい望遠鏡を作るのは非常に大変なことです。
私としては、極限状態の磁場をもっている中性子星で起こる現象をとらえてくれることを期待しています。
そこでは、一粒の光が強い磁場のために自然に二つに分裂したりします。
こんな現象は地上のどんなすごい実験でもできないことです。
その様子が分かるのでないかと思っています。
それぞれの天文学者がそれぞれの夢を持って、今度の打ち上げを見ていることでしょう。
みなさまに、きっと、宇宙の不思議のニュースをまたお伝えしたいと思っています。
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図1 Astro-Hの構造(JAXA提供)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/400-fig1.jpg
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図2 X線望遠鏡の原理(JAXA提供)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/400-fig2.jpg
本文終わり
references
パワポ
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/400-fig.pptx