Astro-H から 「ひとみ」へ
日本のX線宇宙望遠鏡が種子島から発射され、
地球を回る人工衛星としての軌道に無事のりました。
そして、「ひとみ」と命名されました。
打ち上げの時、私は偶然とてもいい場所にいました。
日本のX線望遠鏡に長年関わってこられた馬場彩さん(青山学院大学准教授)(図1)の研究室を訪問していたのです。
同大学の宇宙の研究室で打ち上げの様子を関係者と一緒に見ていました。
打ち上げに重ならないように日程を組んで研究室訪問の日を決めたのですが,
打ち上げ日程がずれたためにちょうど打ち上げの日に訪問することになったのです。
ワクワクした気持ちで打ち上げをご覧になった読者の方も多いと思いますが,
以前の打ち上げでは残念ながら衛星の軌道投入に失敗したこともありますし、
観測装置が軌道上で故障したこともあります。
そのような、苦難をこえての新しいX線望遠鏡の打ち上げでした。
苦難を経験した馬場さんの打ち上げの時の表情には強い緊張感と祈るような気持ちがあふれていました。
打ち上げロケットと望遠鏡本体が切り離されて、望遠鏡が無事軌道に投入されたときは、
涙しておられたのが印象的でした(図2,3)。
翌日、馬場さんに心境をお伺いしましたら、
「軌道に乗せることは通過点に過ぎません。
これから太陽電池パネルを展開したり,たたまれていた望遠鏡を延ばして完成された形に持っていく作業,
姿勢を制御する作業、観測装置を起動す作業と、多忙で緊張する日々が待っています。
今は,身の引き締まる気持ちがします。」
それでも、ツイッターなどにながれるお祝いのメッセージをみるとやはり嬉しいとおっしゃっていました。
自分としてはどんな研究に取り組みたいかという問いに対しては、
「宇宙の元素の起源でまだ分かっていない部分の解明に挑戦したい」そうです。
超新星爆発のときに宇宙にばらまかれる元素ののなかには、
まだ詳しく観測されていない元素がたくさんあります。
そのような元素を調べて、宇宙の大きな歴史をしっかりととらえていく作業に取り組みたいということでした。
無事打ち上げられて、軌道に入ったあとおよそ90分後に地球を一周して、
再び種子島上空に望遠鏡がが戻ってくると、
地上の通信アンテナが「ここに望遠鏡が居るんだよ!」と指さすように、動いている姿を見るのが感動的だとも
おっしゃっていました。
さて、この星空案内のコーナーでも、X線宇宙望遠鏡ひとみの成果を順次お知らせしたいと思います。
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図1 馬場彩さん(青山学院大学准教授)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/405-fig1.jpg
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図2 ロケットから切り離されて、衛星軌道に入っていく望遠鏡
(提供:JAXAデジタルアーカイブズ)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/405-fig2.jpg
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図3 地上で、ロケット上端部分と望遠鏡を繋ぐ作業(宇宙でこの部分が切り離された)
(提供:JAXAデジタルアーカイブズ)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/405-fig3.jpg
本文終わり
references
パワポ
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/405-fig.pptx