ろくぶんぎ座
ろくぶんぎ座という聞き慣れない星座が見えています。
六分儀は円を6つに割って、60度くらいの角度を持った天体の観測・測定器具です。
図1の古い星座で示されているようにしし座の下にあって、
しし座とうみへび座の間に位置します。
紀元前から伝わる古い星座の間に設定されたいわゆる「すき間家具的な」星座です。
天文学者のヘベリウスが設定した星座で、
彼の日記に寄るとこんな事情で作られたということです。
「1654年から20年も愛用してきた六分儀が1679年9月にダンツィヒの自宅の火災で
焼失してしまったあで、
そのような苦い経験を忘れないように星座をおこう。
しし座とうみへび座という元気のいい星座の中間がいい。」
図2は5月4日の午後8時頃の夜空で、しし座とうみへび座の間に
ろくぶんぎ座があります。
しかし、目立つ星もなく、形も六分儀に見えるわけではありません。
今年は木星が目印になり、木星、レグルス、アルファルドというみっつの星から
ろくぶん義の位置が分かります。
面白いのは、古くはウラニアのろくぶんぎ座という名前だったことです。
ウラニアというのが気になるのですが、これは、
大神ゼウスと記憶の女神ムネモシュネの間に生まれた9人の女神(ムーサイ)の
名前に由来します。
女神のそれぞれの司るものは図3のようになっていて、
なんとウラニアの担当が天文です。
星の好きな人は自宅にぜひウラニアを祭ってください。
この九人のムーサイをまつる場所がムーセイオンで、
これが英語でミュージアム(美術館・劇場・博物館など)の
語源になっています。
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図1 1800年ころの星図のしし座とろくぶんぎ座(提供:リンダホールライブラリLinda Hall Library)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/415-fig1.jpg
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図2 2016年5月4日 20時ころの夜空
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/415-fig2.jpg
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図3 9ムーサイの担当
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/415-fig3.jpg
本文終わり
references
パワポ
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/415-fig.pptx