ヒッパルコスの星表
紀元前129年に完成したといわれる古代ギリシャの星表が現代に伝わっています。
作ったのはヒッパルコスという天文学者です。
星表は星のカタログで、夜空の星を一つづつ調べて、位置や明るさなどを表にしたものです。
ヒッパルコスの星表には約1000個の星が掲載されているそうです。
たとえば、織姫星(西洋では、こと座のベガ)の所には、
「耳にあるリラとよばれる星」とあり、位置情報として、
「経度:いて17度20分、緯度:北62度0分」明るさ情報として、
「等級1」が記載されています。
はくちょう座のアルビレオという星については、「くちばしにある星」となっていて
(これは白鳥のくちばしということ)、明るさの欄には「等級3」となっています。
このように、ヒッパスコスによって星の明るさを表現するために等級というのが採用されました。
空を見上げたとき特に明るく見える星を1等星、それより少しくらい星を2等星、と順次等級が下がり
(数字が増えます)、
肉眼でみえるぎりぎりの明るさの星を6等星としました。
その後、科学が発展し、光の量を測定できるようになると、1等星と6等星違いは光量ではおよそ100倍違うことがわかりました。
それで、現在では、5等級の等級差があれば光量が100倍違うと定義されています。
並の1等星よりはずっと明るい織姫星は、測定の結果、
現在では、一ランク上の0等星となっています。
では、現代版の明るい星の表1をご覧下さい。
知っている星の名前があるでしょうか。
等級のところに注目ください。
ヒッパルコスの伝統通り星の明るさは等級で表していますが,
小数点がついています。
第一行目はアケルナルで0.5等となっています。
精密な明るさの測定ができる現代では、0等と1等の中間の明るさの0.5等という測定結果が
掲載されています。
等級の後にdと表記されているのは先週ご紹介した二重星(ダブルスター)です。
二個の星をあわせた明るさが示されています。
vと表記されているのは変光星で、明るさが変動する星です。
明るい時の明るさが表示されていますが、明るさが変るので注意しなければなりません。
オリオン座のベテルギウスという星は表では0.4等になっていますが、
変光星で、 かつて、2等星に転落したこともあります。
現代では星のスペクトルというのが調べられていて、赤っぽい星から青白い星まで
いろいろに分類されています。
表でも色を示しました。
しかし、表で赤く塗ってあっても,
実際は赤っぽく光る星ということで、
塗り絵のように真っ赤ではありませんのでご注意ください。
いずれにせよ,紀元前の古代ギリシャの等級の表示は現代の
天文学でも使われています。
天文学は最先端の宇宙の始まりや素粒子の研究もするのに一方ではとても
伝統を重んじる学問分野なのですね。
星の名前 | 星座 | 等級 | スペクトル型 |
アケルナル | エリダヌス | 0.5 | B |
アルデバラン | おうし | 0.8 | K |
リゲル | オリオン | 0.1 | B |
カペラ | ぎょしゃ | 0.1d | G |
ベテルギウス | オリオン | 0.4v | M |
カノープス | りゅうこつ | -0.7 | F |
シリウス | おおいぬ | -1.5 | A |
アダラ | おおいぬ | 1.5 | B |
カストル | ふたご | 1.6d | A |
プロキオン | こいぬ | 0.4 | F |
ポルックス | ふたご | 1.1 | K |
レグルス | しし | 1.3 | B |
アクルックス | みなみじゅうじ | 0.8d | B |
ベクルックス | みなみじゅうじ | 1.3 | B |
スピカ(真珠星) | おとめ | 1.0d | B |
ベータケンタウリ | ケンタウルス | 0.6 | B |
アークトゥルス(麦星) | うしかい | -0.0 | K |
アルファケンタウリ | ケンタウルス | -0.3d | G |
アンタレス | さそり | 1.0dv | M |
ベガ(織姫星) | こと | 0.0 | A |
アルタイル(彦星) | わし | 0.8 | A |
デネブ | はくちょう | 1.3 | A |
フォーマルハウト | みなみのうお | 1.2 | A |
本文終わり
references
パワポ
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/418-fig.pptx