宇宙の果て(光円錐)

わかれた愛しい人に会いたくて、かつてデートした場所に 行っても愛しい人には会えない。切ないことではあります がしかたないですね。こんなときは空間と時間と言うもの が両方そろわないといけないことひしひし感じます。それ らは自由になりません。

この切なさは星を見るときも同じです。図1はエム74と 言う名前の銀河ですが、これは3千万年むかしのエム74 の姿です。光の早さは有限なので遠くにある星たちの光 はむかし星を出発して、やっと今私達の目に入って来た のです。だから、この銀河の現在の姿は分かりません。 3千万年たてばこの銀河をいま出発した光を見ることにな りますが、それまで人類は生きているでしょうか。


図2 時空図
中心が現在今いる場所です。ピンクの線(光円錐[ルビ:こうえんすい] といいます)の上にあるものだけが観察可能です。

図1 渦巻銀河M74 (NASA提供)
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エム74の二倍遠くにある銀河は6千万年前の姿として見えます。 5千万年まえの姿も7千万年前の姿も見ることはできま せん。このように考えると望遠鏡を使ってみることので きるのは非常に限られた時間と空間の組合せになること がわかります。図2で私達のいる現在の場所と現在時刻と 私達がみることのできる範囲を示しました。ピンクの線 の上しか私達は見ることができないのです。なんと切な いことか。

遠くをみることはむかしを見ることです。現状で人類 が見ることのできる一番遠くを見たとき、そこには137億年 前の火の玉状態だったころの宇宙が見えたのでした。 宇宙の広がりは無限だと想像することはできますがそれを 見ることは決してできないのです。

連載が始まってちょうど一年で宇宙の果ての話しまでたどり着きました。 次回は身近な話題に戻りたいと思います。


捕捉(未掲載) 火の玉状態の光は 2.725Kの黒体放射 当時の宇宙のは約3000度の火の玉でした。 温度の違いは約1000倍ですので、宇宙の大きさも約千倍違います。 この火の玉の映像はWMAPで観察されました。 以下の写真は温度2.725からのずれのマップです。 WMAP 2008の結果