エジプトの星座
古代文明でだれもが興味をもつのは、
あのピラミッドを作ったエジプト文明でないでしょうか。
高度な文明をもったエジプトにも独自の星座があったにちがいありません。
しかし、
現在知られているエジプト生まれの星座は少ししかありません。

確実なもののひとつは「牡牛の前脚」をかたどった星座です。
古代エジプトの言葉で「メスケティウ」と呼ばれる星座です。
紀元前二千年ころのイディという人の木棺の蓋にえがかれた図1のような星座です。
一目見てこれは現在の北斗七星であるとわかります。
つまり、現在の北斗七星の部分をエジプトでは牡牛の前脚座としていたようです。
エジプトでは牡牛の前脚はお供え物としてもっとも高級とされていました。

時代が下って紀元前50年、
エジプトにあるデンデラ遺跡の神殿の一室の天井に描かれた天体図が有名です。
クレオパトラ女王の時代です。
砂岩に描かれた図2のようなレリーフなのですが、
よく見るとメソポタミア生まれの黄道12星座が見えます。
おとめ、しし、カニ、ふたごと順序よく並んでいます。
そこにはちゃんとエジプト生まれの「牡牛の前脚」が描かれています。
その左上の杖をついた大きなかわった動物の星座(A)もエジプト生まれの星座です。
この時代は、メソポタミアもエジプトも交流あり、戦争もありで
ふたつの文化が混じりあっていたことがわかります。
文化の主役はギリシア人でありヘレニズム文化とよばれます。

しかし、
紀元後2世紀にプトレマイオスによってまとめられた48星座には
エジプト生まれの星座が消えているのです。
こうして現在私たちが使っている88星座からエジプト生まれの星座が無くなってしまったのです
(図3)。
いったいどうしてこんなことになったかとても気になりますね。





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図1 イディの木棺に描かれた星座 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/422-fig1.jpg
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図2 デンデラ神殿の天体図 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/422-fig2.jpg
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図3 時代の流れ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/422-fig3.jpg
本文終わり
references パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/422-fig.pptx