cco爆発
6月22日に私たちの回りで「なんだ、こりゃ!」という不思議な事件がおきました。
やっとそのことが論文原稿になって公表されましたので、
ここにも紹介できるようになりました。

超新星という星の爆発があることはご存知の方もおいでかもしれません。
超新星の爆発の爆風は広がって,宇宙空間に浮かぶ巨大な風船のように見えます。
その大きな球状のものを超新星残骸と専門家は呼びます。
残骸という言葉はあまり語感がよくありませんがこんな名前がついています。

図1の左の写真にあるぼんやりとした赤い球が超新星残骸です。
ここに掲載したものは直径が28光年もあります。
球の中心には爆発した星の中心核が半径10kmの小さな星になっています。
超新星爆発のカスのようなものです。
天文学者はこれを中性子星と呼びます。

多くの中性子星は強い磁石で光速で回転するためにパルサーと呼ばれる活発な天体になります。
しかし、まれに、まるで線香花火の燃えカスのような小さい小さい不活発な火の玉になるものがいて、
CCO(シーシーオー)と呼ばれます。

通常はX線で光っていて図1の左のように青い星として見えています。(本当に青いわけではなく
エネルギーの高いX線を青で表現しています。)
CCOは電波でもガンマ線でも見えず、X線だけでみえて静かな天体であるというのが通常の見方でした。

ところが6月22日図1の右のように100倍近く急激に増光し、たった一時間ほどで元の明るさに戻ってしまいました。
こんな急激な変化をとらえてくれる望遠鏡があることも嬉しいですが,
こんな変な星がいるというのも嬉しことです。

この星の正体は何なのでしょう。
だれもよくわからないのですが、私が想像しているのはこんなことです。
実はこの星はマグネターではないか。
磁石をマグネットといいますね。星はスターです。あわせて磁石の星「マグネター」です。
マグネターは強力な磁石になっていて磁石のパワーで光ります。
図2の想像図で赤い部分の磁石に特にそのような力が備わっています。
突然この磁石の一部が消滅してエネルギーを出すのではないかという考えです。
しかし、10光年以上彼方にあるたった半径10kmの星のことですからなかなか正体を暴くのはたいへんです。




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図1 超新星残骸の中心にあるCCOの爆発の様子(2016年6月22日)(提供:ダイ氏ほか(IASF,パレルモ,イタリア)) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/428-fig1.jpg
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図2 マグネターの想像図 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/428-fig2.jpg
本文終わり
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