兄弟星(ふたご座)
ペアにして考える星の組み合わせはいっぱいありますが,世界中にいつの時代にもペアとして登場するのが、
ふたご座のカストルとポルックスの兄弟星です。
図1のように、夜8時ごろ東の空にオリオン座と並んで昇って来ます。
二つの星が縦に並んでいてすぐに気がつくでしょう。

日本では金ぼし、銀ぼしとよばれたり、ひなまつり星とよばれ、これは男雛、女雛をイメージした命名です。
ペアにするところまでは良いのですが,
どちらが兄か弟か、金か銀か、男雛か女雛か、どのように決まっているのでしょう。
星空案内の仕事をしていて、
どっちがカストルでどっちがポルックスかもときどき分からなくなってしまいます。
図2に二つの星を比較してみましょう。

二つの星は明るさが違っていて一方は一等星でもう一方が二等星です。
なぜか明るい方が弟のポルックスです。
そして、暗い方が兄のカストルです。
どうしてそうなったかは分かりませんが,もしかしたら、ギリシャ神話の影響かもしれません。
弟のポルックスが神の子で不死身であり、カストルが人間の子であり死ぬ運命をもっています。
戦いでカストルが死んだとき、ポルクッスが大神ゼウスに、
カストルの再生か、自分が神であること解いて死ねるようにしてほしいと願い、
このことに心を打たれたゼウスが二人を星にしたというお話があるのです。

明るさだけでなく色も違います。カストルはA型星で白く、ポルックスはK型星でオレンジ色に見えます。
ですから、星を眺めると,カストルが銀ぼしにポルックスは金ぼしに見えます。
これは素晴らしい命名ですね。

地球からの距離はカストルが52光年でポルックスの34光年より遠くにあります。
真の明るさ(光度)は表にあるように遠くにある兄のカストルの方が大きいようです。

ひな祭り3月3日の真夜中に西の空に二つの星が水平に並びます。
右側にあるのがカストルでこちらが女雛、左にあるポルックスが男雛ということになります。

ここまで整理しても頭が混乱する一方ですので、
図1に戻りましょう。
東の空で、先に昇ってくるのが兄のカストル、
後から昇ってくるのが弟のポルックスと覚えておきましょう。
弟の方が強く明るく、神で、金ぼしです。





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図1 11月末から12月上旬、よる8時頃のの東の星空。(ステラリウムを利用して作製) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/444-fig1.jpg
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図2 ふたごの星の比較 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/444-fig2.jpg
本文終わり
references パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/444-fig.pptx