みなみのうお座
星占いにも登場する「うお座」は知名度は高いとおもいますが、
「みなみのうお座」はどうでしょう。
えっ、そんな星座あるんですか,と言われそうですが、
この星座はとても古くからある由緒正しい星座です。
古代メソポタミアの紀元前6世紀ごろのムル・アピンとよばれる粘土板にも出て来ます。

見つけ方は簡単です。
12月初旬ですと日が沈んで暗くなったらすぐに南西の空をご覧下さい。
この辺りには一等星はひとつしか無いので見逃すことはありません。
秋の夜にひとつだけ見える一等星なので日本では「秋のひとつ星」と呼ばれている明るい星が見つかります。
この星がみなみのうお座の中心になる星のフォーマルハウト(魚の口の意味)です(図1)。

このあたりを魚の神様としてみていたシュメール人の時代であれば、
人口の光りも無く、
たくさんの星がみえて魚の姿が浮き出てきたかもしれませんが、
私たちが残りの暗い星をつないで魚の姿を想像することは難しいです。

たまたまなのですが,今はすぐ西側(右側)に火星と金星が見えています。
火星は赤いですし、金星はやたらと明るいので、寂しく白いフォーマルハウトと間違えることはないでしょう。

この星座を作ったと思われるシュメール人は今のイラクの砂漠地帯の人々ですから魚に親しみが本当にあったのだろうかと疑問がわきます。
シュメール人はたくさんの粘土板に文書(契約書、法律書、物語などいろいろ)を残しています。
楔形文字で書かれた図2の様なものですでに解読されています。

その粘土板にこんなことばが残されています。
ある妻の言葉「わが夫は私のために荷物を積み上げる。
私の子どもは私のために日用品を与えてくれる。
私の愛人は私のために魚の骨を除いてくれる。」
また、
「私は口でお前のためにスープをさます。
お前は私のために魚の骨を除いてくれる。」

魚の骨を取ってあげることが男女の愛情表現のひとつであったことが分かりますね。
また同時に、
シュメール人たちは魚を結構食べていたんだなということもわかります。





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図1 12月初旬午後6時半頃の南西の空(ステラリウムを用いて作成) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/446-fig1.jpg
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図2 シュメールの諺が書かれた粘土板 (クレジットは図中に表記) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/446-fig2.jpg
本文終わり
references 画像出典  http://www.schoyencollection.com/ 諺: 都市国家の誕生 (世界史リブレット 1)、前田徹、山川出版社 page72 パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/446-fig.pptx