オリオンの神話
星座まつわるお話は民族・時代によって異なったものがたくさんあり私たちを楽しませてくれます。
日本の昔話にもありますが、なんと言っても圧倒的な量を誇るのはギリシア神話でしょう。
といっても、ギリシア神話という一冊の本があるわけでなく、
それは古代ギリシアに伝わるたくさんのばらばらな話し全体を指しています。
冬の星座といえばオリオン座です(図1)。
美男子で狩りが上手なオリオンにまつわるギリシア神話を調べてみると,話しの多様性に驚かされます。
例えば、どのようにしてオリオンが死んだかということでどんなパターンがあるか取り上げてみましょう。
よく知られているのが、サソリに刺されて死んだという話しで、サソリを遣わしたのが月の女神アルテミスです。
理由は4種類ほどあって、
(1)アルテミスに言い寄って「おれは地上のどんなけものより強い」と威張ったため、
(2)曙の女神エオス(アルテミスの妹)と愛し合ったのでアルテミスが嫉妬して、
(3)アルテミスの侍女オピスをおそったため、
(4)アルテミスを犯そうとしたため、というものです。
サソリを遣わしたのは大地の女神ガイアであるとする話しもあります。
理由は、
(1)どんな動物でも殺すことができると豪語したため、
(2)あまりに猛烈な勢いで狩りをしたので動物の絶滅を恐れて、
という二つの話しがあります。
オリオンは矢に射られ死んだという話しがあり,矢を射たのは弓の名手で月の女神のアルテミスです。
理由は、
(1)曙の女神エオスに恋をしたが神でないオリオンが神を恋することが禁じられているため、
(2)アルテミスに円盤投げの競技を挑んだため、
(3)オピスを暴力をもって犯そうとしたため、というものです。
同じくアルテミスの矢に射られるのですが、ちょっと変った話しでは,
アルテミスの兄(弟)のアポロンが、アルテミスをそそのかしてアルテミスに射させたというのがあります。
理由は、アポロンは生意気なオリオンが嫌いで、アルテミスがオリオンを愛してしまったことが気に入らないためというのです。
神話というので神様のお話とおもいきや、人間の生々しい感情よく見えるお話のようです。
神話と訳されますがギリシャ語ではミュートスといい、意味は「話された言葉」ということで、
単にお話という意味です。
登場する神の系図を掲げたので参照ください(図2)。
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図1 オリオン座。中央に三ツ星とそれを囲う4つの星が見えます。
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/447-fig1.jpg
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図2 登場する神の系図
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/447-fig2.jpg
本文終わり
references
パワポ
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/447-fig.pptx