地球外生命@土星?
先日、2月11日に河北町サハト紅花の新しいプラネタリウムで「宇宙人はいるのか?」というタイトルで講演したのですが、
こういうタイトルで科学的な話しをできる時代になったことがちょっと嬉しかったです。
「宇宙人なんかいないよ」「いや、俺はきっといると思うな」といった感覚的な話しでなくて実証的に考える様になって来たのです。
もちろん、まだまだ研究を進めなければいけませんが、確実に成果が積み重ねられている様子を系統立てて説明しました。
そのなかのひとつを紹介します。
惑星が誕生したとしても、太陽に相当する中心の星からの距離が程よくて、暑くもなく寒くもなく、液体の水が存在する
位置にいなければ生命は誕生しないとよく言われます。
この程よい距離にある場所をハビタブルゾーン(居住可能領域)と呼んでいます。
太陽系では地球あたりで、遠くある木星や土星などは遠すぎて寒くて氷の世界なのでハビタブルゾーンではありません。
しかし、生命存在の可能性が高まっている天体は木星や土星の衛星です。
それは、太陽のような中心星からの光とはちがった熱源、エネルギー源があるからです。
地球の内部もそうなのですが、岩石中のウランなど放射性物質がかなりのエネルギー源になります。
つまり、天然の原子炉のようなものが地中に分散して存在してやんわりと惑星を温めています。
もうひとつは潮汐エネルギーです。地球では潮の満ち引きがあり海水が運動します。
この海水の運動と
地殻の摩擦で熱が発生します。地球ではたいした量ではありませんが、
衛星によってはかなり大きな熱源になります。
図1はエンケラドスという名前の土星の衛星です。
表面は氷の星ですが、水が吹き上げているのが見えています(図2)。
すぐ近くまでカッシーニという探査機が行き有機物や塩分を含んだ水が噴出していることが確かめられています。
内部構造は図3の様に想像されていて、氷の下は海になっているようです。
どこかに熱源があって液体の水が外に吹き出ているようです。
ホットスポット的な熱源があれば、地球の熱水噴出口のように生物がいっぱいいるかもしれません。
宇宙の生命のスタイルはきっと様々、想像を越えたものであるような予感がします。
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図1 土星の衛星「エンケラドス」(提供:NASA)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/455-fig1.jpg
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図2 エンケラドスからの噴出水(提供:NASA)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/455-fig2.jpg
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図3 エンケラドスの構造(想像図)(提供:NASA)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/455-fig3.jpg
本文終わり
references
パワポ
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/455-fig.pptx