宇宙のように広い心
星空案内をしていてつまづくことがあります。
私がよくやる失敗は、秋の空にWのきれいな形をして有名なカシオペヤ座の呼び方です(図1)。
つい、カシオペア座と言ってしまうのです。
学校の教科書や国立天文台の表記ではカシオペヤ座が正しいとされています。


ギリシア神話の参考書をみると、ギリシア語で Κασσιέπεια (カッシエペイア)となっています。
私の結論としては、どちらの読み方でもいいのでないかと思います。

わたしが困るのは読み方でなくて、
誰かがカシオペア座と言ったときに,それは間違っていると正す人が現れることです。
そっと、言うのならまだいいのですが,強くしつこくいわれると、
言われた人は傷ついてしまい、星空案内が嫌になったり,
折角仲良くなった星好きの仲間の心にひびがはいるかもしれません。

ギリシア神話のストーリーにはいろいろなバリエーションがあり異なった筋書きがいろいろ存在します。
アンドロメダ姫が犠牲に捧げられることになった原因は母のカシオペヤのある言葉なのですが、
それが語り手によって違います。
(1)「私(カシオペヤ)は海の妖精すべてより美しい、といったから」というのと
(2)「私の娘(アンドロメダ)は海の妖精すべてより美しい、といったから」というのと
両方が語られています。
最初に読んだ本が(1)だと、(2)を聞いた時、「えっ、違うんじゃない」とつい反応してしまいます。
最初に読んだ本が(2)なら逆になりますね。

星空案内の基本は寛容さだとおもいます。
「宇宙のように広い心で」受け入れましょうね、というのが合い言葉です。

他にも例はあります。
ヘルクレス座という星座がありますが(図2),
ヘーラクレースとギリシア神話では言っています。
ギリシア語には長母音というのがあって長く延ばす音があります。
文字数を減らして「コンピューター」を「コンピュータ」とするように、
ヘラクレスとする人も多いです。

私が面白いと思ったのはコップ座です。
星座絵(図3)をみると気がつくことですが、これはコップでなくてカップないでしょうか。
教科書はコップ座ですが、星座絵はどう見てもカップ座です。
優勝カップを優勝コップとったら笑ってしまいます。

あまり真剣にならず、寛容さをもって楽しく暮らしたいものです。








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図1 今晩午後7時頃、北西の地平線近くにカシオペヤ座がみえています。 (ステラリウムを用いて作図) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/458-fig1.jpg
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図2 今晩、午後9時頃、南東の地平線近くにコップ座がいます。 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/458-fig2.jpg
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図3 今晩、真夜中零時頃、南東の地平線近くにヘルクレス座が昇って来ています。 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/458-fig3.jpg
本文終わり
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