かんむり座

その星座がどこにあるかを知らされることも無く、ただ、
「かんむり座」という星座があるのだそうだと聞いただ
けで、なにげなくいまの時期に夜空を見あげると、「あっ、
これがかんむり座なんだな」と分かる星の並びがありま
す。かんむり座はそんなにきれいな形をした星座です。
きっと、だれでも指でさし示すこと無く見つけられます。
私のお気に入りの星座のひとつですが、いろいろな人に
聞いてみると、この星座のファンが多いことに驚かされ
ます。

残念なことに、町の光の中ではこの星座を見つけること
はできません。暗い星でつくられた星座ですから。町あ
かりの少ない暗い場所で見てください。今週でしたら、
午後8時半ころ頭上に来ています。午前0時ころならやや
西に傾いています。形は図1のようにきれいな冠のかた
ちです。

銀の車輪という意味のアリアンロッドという女神が住ん
でいるお城がこのかんむり座なのだそうです。これは、
北ヨーロッパのケルトの神話です。ケルト人は馬に車輪
のついた車を引かせ中央アジアからヨーロッパに入って
来た人々で、現在、ケルト語系の言語を話す人々はアイ
ルランドやスコットランド、マン島、ウェールズ、ブル
ターニュに住んでいるそうです。

アリアンロッドは「時」の女神で、アリアンロッドの仕
事は、銀でできた「時の車輪」をまわすことです。彼女
が車輪をまわし続ける限り世界は続いてゆくといわれま
す。

このアリアンロッドのまわす銀の車輪とは天の川のことです。
天の川のほとりに彼女の城である「かんむり座」があるのだ
とおもって、頭上のかんむり座と東から昇ってきた天の川の
風景を見るのはなかなか素敵な瞬間です。




図1 かんむり座
(アストロアーツ製、ステラーナビゲータを用いて作図)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shiata/yamashin/46-fig1.jpg

図2 時の車輪=天の川
(撮影:服部完治撮影、柴田晋平他著、「星空案内人になろう」(技術評論社)より)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shiata/yamashin/46-fig2.jpg


-------------------------------------------------
捕捉(未掲載)