星の動き
星の動きというのは複雑で理解が難しいと思っておいでの方が多いのでないかと思いますが、
地球から見た星の動きというのはこの世界でもっとも単純なものの一つではないかと思います。
地球から離れて宇宙空間に立ったとしましょう。
漆黒の宇宙空間は何千という星々があらゆる方向に見えることでしょう。
この星の景色は、自然界の中でもっとも変化しないものの一つです。
星も地球も宇宙の中で動き回っていますが、宇宙空間は途方もなく広いので、
星の景色はほとんど変わらないのです。
古代の人も、現代人も全く同じオリオン座を見、北斗七星の形を見ていました。
地上で見る夜空は、この普遍な星の景色がくるくると回っているだけです(図1)。
自転があるため約24時間で星空は一巡します。
東から昇り西に沈むわけです。
この周期は極めて安定しています(一万年経っても自転周期のずれは一秒以下です)。
自転軸はというとこれも極めて安定しています。
これらは、角運動保存の法則という物理法則で表現されます。
物体は回転すると同じ軸、同じ速さで回り続ける慣性を持ちます。
図2の上の図のように、地球が太陽の周りを公転しても、いつも自転軸は同じ方向です。
というわけで、地球から見た星の運動は毎日毎日全く同じことの繰り返しで、普遍のものなのです。
これに対して、地球の近くにいる月、太陽、惑星を地球から見たときの運動は極めて複雑です。
人間は、太陽や月を基準に考えてしまうので、季節によって星座が変わるなどという複雑なことに
なるのですが、これは星の性ではなく地球と太陽の相互関係が複雑なためです。
唯一、自転を脅かすものがあります。
回転するコマを考えると、
緑色で示したのようなコマを水平軸の周りに回転させるねじり力(トルクとも呼びます)が働きます。
この結果、コマの回転軸は点線のように動きます。
これを歳差運動とよびます。
地球には太陽や月の引力のためにわずかなねじり力が働くため歳差運動します。
ねじり力は弱いので、
歳差運動の周期は2万6千年ほどで日常の星の運動には全く影響しません。
しかし、
古代の人が見ていた星の運動を考えるときは、歳差運動を考慮する必要がありす。
たとえば、1万年以上昔の人々はおりひめ星(こと座のベガ)を北極星として見ていたでしょう。
そのころはおりひめ星の方向に地球の自転軸が向いていたからです。
古代の土器かなにかの文様に星の動きが描かれていたら楽しいですね。
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図1
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/474-fig1.jpg
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図2
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/474-fig2.jpg
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図3
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本文終わり
パワポ
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references will be note-474