木星が見やすくなってきました 日が沈んで徐々に星が見えてくるころ、南東の低い位置 にとても明るい星を見つけたかたはいませんか。 (図1) 夜の九時ころにはだいぶ昇って来ます。太陽系の中でも っとも大きな惑星、木星です。これから、7月、8月、9月 と楽しむことができます。 ちょっと性能の良い双眼鏡か非常に小型の天体望遠鏡で この木星を観察してみましょう(夏休みの理科の研究によ いかも)。木星のまわりにまとわりつくように四つの衛星 が見えます。 (図2) 内側を回っているものから順に、 イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストという名前がついて います。これらは木星の回りを運動していますから見るた びに違った位置にみえるのでおもしろいです。 と言うわけで以前、学生といっしょに衛星の位置をスケッ チしてみました。実際やって見るととても大変でしたが、 結果をまとめると図3のようなグラフができました。木星 に対して衛星の位置が日数の経過とともどのように変わ るか描いたものです。日数の経過とともに木星の左にあっ たカリストは9日ほどで右に移りました。カニメデは約三 日半で右と左が交替します。カリストは二日弱で交替しま した。 このとき、「えっ、これもしかして、衛星の公転周期が 1:2:4 になっている?」と思えてびっくり。実際文献で調 べてみると、ここでは観測されていないイオを含めて衛星 の公転周期は 1:2:4:8 になるそうです。(だだし、カリス トが完全に整数比になるにはあと数百万年かかるそうです。) 軌道の共鳴と言う現象です。 天文学を専攻する私としてはお恥ずかしい話しですが、 このことはこの観測をして始めて知ったのでした。 図1 7月14日午後9時の空 (アストロアーツ/ステラナビゲータを利用して作成) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shiata/yamashin/48-fig1.ppt http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shiata/yamashin/48-fig1.jpg 図2 木星の衛星(提供:国立天文台) ※適当にトリミングしてください。 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shiata/yamashin/48-fig2.jpg 図3 木星の衛星の観測結果 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shiata/yamashin/48-fig3.ppt http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shiata/yamashin/48-fig3.jpg ------------------------------------------------- 捕捉(未掲載)