ダークマターの謎に迫る
宇宙の25パーセントを占めるダークマター(暗黒物質)はその正体が不明で、
このことは現代物理学の最大の謎の一つです。
最近ハッブル宇宙望遠鏡を用いた観測によりその正体を解明するヒントになる重大な現象が発見されました。
観測結果はもっとも支持されている物理学理論とは矛盾するもので今後の検討が楽しみです。
それにしても観測データ図1は見事なものです。
たくさんの点々、よく見ると楕円状あるいは渦巻状に写っているのが銀河で、
星ではありません。
数千個もの銀河が集まって、画面いっぱいの一つの大きな銀河団をなしている様子がわかります。
しかし、円板状や渦巻状の銀河がたくさん写っているだけでなく、
円弧状のスジがたくさん写っていますね。
この筋は重力レンズ像とよばれます。
この画像の真ん中あたりを中心としてダークマターの大きな塊が分布しています。
たくさんのある円弧の中心がダークマターの塊の重心です。
ダークマターの塊の中に、
たくさんの銀河やガスが囚われの身となっていて、
それが銀河団となって見えているのです。
中央の明るい部分は中心銀河でこの銀河団の主(ぬし)のような巨大銀河です。
現在予想されている理論によるとダークマターはその重心に集中するので、
その重力はとても強くて中心銀河とダークマターの重心はほぼ一致しているはずです。
このほどアーベイさんらスイス、フランス、イギリスの研究チームは、出来てから十分時間のたった
銀河団を10個ほど選んで調べたところ、ダークマターの重心(図2の+印)と中心銀河とは
平均して約4万光年もずれていることを見つけました。
図2の赤い色はダークマターの分布を示しています。
現在の理論では7千光年以上はずれないだろうという予想だったのでこれは大幅なずれです。
なので、ダークマターの性質について私たちは大幅に誤った理解をしているのでないかと
研究チームは言っています。
さて、宇宙のダークマターの正体はなんでしょう。
私の心の中のもやもやの正体ももついでに解決してくれないかなと思ってしまいました。
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図1 銀河団Abell S1063 (提供:NASA/ESO)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/491-fig1.jpg
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図2 ダークマターの分布(赤)と中心銀河との位置のずれ
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/491-fig2.jpg
本文終わり
パワポ
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/491-fig.pptx
references will be in note-491.pdf
!open /Users/shibata/Desktop/ss/ref/bibitems/1703.07365.pdf
A detection of wobbling brightest cluster galaxies within massive galaxy clusters
\bibitem[Harvey et al.(2017)]{2017MNRAS.472.1972H} Harvey, D., Courbin, F., Kneib, J.~P., \& McCarthy, I.~G.\ 2017, \mnras, 472, 1972
http://adsabs.harvard.edu/abs/2017MNRAS.472.1972H