(No.494) 恒星時計
今は無いと思いますが、
私が学生の頃には天文台には恒星時時計という時計がありました。
ちょっと変わった時計で毎日約4分づつ進みます(図1)。
一月もたつと、二時間ほどずれてしまいます。
もし、恒星時時計のお昼12時にご飯を食べることにすると、
一月後では10時にお昼ご飯になってしまいます。
2ヶ月後には8時になり、朝ごはんの時間にお昼を食べることになってしまいます。
こんな変な時計なのですが、
この時計をみると、今どんな星が見えているかすぐにわるすぐれものです。
この時計の指している時間は、専門用語では地方恒星時という時刻です。
たとえば、今日、11月22日の午後8時ですと、恒星時時計は 0時26分を指しています。
つまり、この時の山形の地方恒星時は0時26分ということです。
この時刻に空を見上げると、うお座がちょうど南の空の一番高い位置にいます。
図2のようです。
図2を見ると星座図に時刻目盛がついています。専門用語で赤経(せきけい)といいます。
恒星時時計が0時を指した時には、赤経0時の星がちょうど真南にいるという意味を持っています。
図2によるとオリオン座は赤経5時と6時の間ですので、恒星時計が5時か6時を指した時に、
空をみると、
オリオン座が真南に来ています。
同様におうし座は4時半ころでしょうか。
こんな風にして恒星時計の時刻を読めばどの星座がどのあたりにいるかすぐわかるのです。
一方、 私たちが日常生活に使っているのは太陽時時計です。
では、次の様にして恒星時時計を作ってみましょう。
まず、針の進め方を調整できる時計を準備し、1日3分57秒くらいづづ進む様に調節してください。
次に、12月1日午後8時になったら、時計を1時1分37秒に合わせてください。
これで完成です。
1分くらいの精度があれば十分ですので秒は気にしないでください。
この時計が5時から6時を指したら夜空を見上げましょう。
オリオン座が真南にいるはずです。
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図1
ある日の12時に太陽とある星が同時に真南に来たとします。
翌日は、恒星時時計が12時を指した時、星は真南に来ます。
太陽はまだです。
そして太陽時時計が12時なった時、太陽は真南に来ます。
ただし、太陽については一定の速さで動かないので図とはまたずれた運動をして複雑です。
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図2 今日午後8時の夜空
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図3
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本文終わり
パワポ
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