周転円
エジプトのアレクサンドリア市は、
カイロにつぐエジプト第二の都市ですが、
古くから大都市で、紀元前にアレクサンダー大王が建設した町です。
アラビア語の名前はアレクサンドロス(イスカンダル)の町という意味になっています。
しかし、その後、カエサル率いるローマ軍に占領され紀元前47年には壊滅的な打撃を受けます。

紀元前の昔からこの町にはアレクサンドリア図書館があり学問の中心地でした。
ローマ軍によるひどい破壊を受けても2世紀に再建され、
この図書館でクラウジウス・プトレオマイオスという学者が天文学大事典を著しました。

ところで、
今年の夏は図1の様に西の空には金星がよく見ています。
宵の明星です。
見つけてみてください。
図の様に太陽の左側に金星があるので、日没後に見えています。
今年の年末になると金星は太陽の右側に移動します。
そのため、明け方の東の空、日の出前に見えるようになります。

何年も何年も金星の動きを観察していると金星は太陽の周りを右左に移動するだけで、
太陽からはある角度以上に離れることがないことに気がつきます。
月なら太陽と正反対の方向に移動して、日没の時に東から昇ってくることがあるのですが、
金星は決してそんなことはありません。
この金星の性質を昔のひとはどう考えたのでしょう。

プトレマイオスの天文学大辞典にはどう説明されているか見てみましょう。
図2をご覧ください。
地球は中心にあって動きません。
その周りに太陽が回っています。
金星は周転円の上を運動します。
そして、周転円の中心は、いつも太陽と同じ方向に居ます。
確かにこう動けば金星の運動を説明できますね。
よく考えたものです。

望遠鏡が出現して金星の形や大きさの変化がわかるようになると、
この周転円では理解できないことになり、徐々に現代的な見方が出てくるようになりました。





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図1 6月20日 午後7時40分頃の西の空 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/523-fig1.jpg
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図2 周転円 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/523-fig2.jpg
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図3 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/523-fig3.jpg
本文終わり
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