やぎ座はパーン
午後7時はもう真っ暗です。
いつの間にか秋風が吹き、日没も早くなってすぐに暗くなります。
南の空に特別明るい火星が今、どんと居座っていますが、
そのあたりがやぎ座です(図1)。

古い星座では図2(右下)のように、上半身は山羊で、尾は魚という不思議な形をしています。
山羊魚と呼ばれるこの生き物は古代メソポタミアの印章の図柄にも使われていて古くからあるものです。
やぎ座は紀元前から伝わる古い星座で、
プトレマイオスの48星座にも入っています。

ギリシャ神話では、
この星座は牧神パーンということになっています。
パーンがなぜ、こんな変な形になっているかを伝える神話もあるのですが、
それは後ほどということにして、
今日はパーンの生い立ちを紹介しましょう。

牧神パーンの姿は、上半身は毛深く、長い髭をたくわえ、額に山羊の角を生やしており、
下半身は山羊で足先はひずめになっています。

彼は、ヘルメースとドリュオブスの娘との間に生まれた子ですが、
生まれ落ちた時、想像もつかないほど奇怪なその姿に驚き母親は逃げてしまします。

ヘルメースは彼を野うさぎの皮に包んでオリュンポスの山に行き、神々にその姿を見せました。
彼は、
全ての神々をその奇妙に愛嬌のある姿で面白がらせました。
これで彼は一躍有名になります。
そして、「全ての」という意味の「パーン」を彼の名とすることにしたそうです。

ただし、言語学者の話によると牧神の名のパーンとギリシャ語の全てを意味するパーンは語源的に別で、
この話はおそらく後付けの話ではないかということです。

パノラマ(全景)とかパンパシフィック(汎太平洋)などいろいろなところでパンが出てきますので、
その時はやぎ座を思いだしてください。



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図1 今晩午後7時頃の南の空。 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/538-fig1.jpg
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図2 フラムスチードの星座図(提供:リンダホール図書館) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/538-fig2.jpg
本文終わり
パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/538-fig.pptx references will be note-538