X線で星を見る
子供の頃から天体観測というと天体望遠鏡を覗き込むことしか想像できなかったので、
X線(レントゲン)で星を見るなんて聞くとびっくりです。
意味もよくわかりりません。

病院でおなじみのX線撮影は図1のようです。
「はい、息を止めて」でじっとしているうちに、
ガシャリと骨の写真が撮れるものです。

どういう仕組みになっているかというと、
図の赤い丸の部分にX線を発生するところがあります。
X線源と呼びます。
X線源から緑色の線で示したようにX線が広がって行き、
青色で示した板の部分でX線を撮影します。
途中に何もなければべったり塗りつぶされたように写りますが、
途中に体があると骨がX線を遮断するので、
影として骨が写ります。

宇宙空間にこのX線源が浮かんでいるとすると、それがX線星ということになります。
X線は地球大気で吸収されるので、宇宙ステーションにX線カメラを取り付けて空のX線写真を撮ると、
図2のようにたくさんのX線星が写ります。

図2の矢印をつけた星が全天で一番明るいX線星の「さそり座X-1」です。
こんなに明るいX線星があるなどとはだれも想像だにしていなかったとき、
米国のリカルド・ジャコーニとブルーノ・ロッシらはX線検出装置を乗せたロケットを
打ち上げてこのさそり座X-1を発見しました。
1962年6月12日のことです。
その後、つぎつぎにX線望遠鏡が人工衛星として打ち上げられました。
普通の望遠鏡では見つからない不思議な天体がおかげでたくさん見つかりました。

このことを書いたのはX線天文学を開拓したリカルド・ジャコーニ氏が12月9日に亡くなったというニュースを聞いたからでした。
ご冥福をお祈り申し上げます。



画像をクリック(拡大)

図1 病院のレントゲン装置 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/549-fig1.jpg
画像をクリック(拡大)

図2 国際宇宙ステーションに設置しているMAXIというX線カメラによる全天画像(提供:理研/JAXA) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/549-fig2.jpg
画像をクリック(拡大)

(さいずは小さめでもいいです。) 図3 X線天文学の開祖のひとりリカルド・ジャコーニ氏(提供:NASA) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/549-fig3.jpg
本文終わり
パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/549-fig.pptx references !open /Users/shibata/Desktop/ss/ref/bibitems/A\ Hero\ of\ the\ Heroic\ Age\ of\ Astronomy\ __\ 12\ December\ 18.pdf A Hero of the Heroic Age of Astronomy 追悼記事 http://chandra.harvard.edu/press/18_releases/press_121218.html /Users/shibata/Desktop/ss/ref/bibitems/X線天文学の誕生とその発展.pdf X線天文学の誕生とその発展 小田稔 日本物理学会誌vol51 No.8