第二の地球
平凡原理という考え方が私は気に入っています。
地球に液体の水が存在して、そこで生命が誕生し進化していくのは、宇宙の中ではごく平凡なことで、
地球に似た惑星や生命体も宇宙には一杯いるという考え方です。
人類がいることは奇跡などではなく、宇宙の中ではごく当たり前のことかもしれません。
太陽系の中にも土星の衛星タイタンがあって、この星は第二の地球と呼ばれることがあります。
まず、分厚い大気があります。気圧は約1.5気圧で、1気圧が地球ですので、
地球よりちょっと圧力が高い程度で非常に似た圧力と言えます。
大気の主成分は窒素でこれも同じです。
メタンが2〜5パーセント含まれていてこれが地球の水の役割をしています。
図1のようにタイタンの北極地方と南極地方にはメタンの海や湖が存在します。
季節が春、夏と暖かくなるとメタンは蒸発し積乱雲が発生し雨が降ります。
図2のようにメタンが地表面と空の間を循環しています。
このために、川ができ大地は侵食され地球と似た地形ができています。
地球での水の大気循環と同じですね。
地形だけではなく、メタンの蒸発により湖の中の他の有機物が濃縮されます。
太陽の光エネルギーを化学物質の形にして蓄えることができます。
たとえば、メタンが光で分解してアセチレンができると、
アセチレンとして光エネルギーをため込んでいます。
太陽エネルギーを化学エネルギーとしてため込めれば、
そのエネルギーを利用してより複雑な有機物質を合成することが可能になるでしょう。
それは湖で濃縮されるでしょう。
自転軸が傾いているので季節変化もあります。
北極と南極で交互に暖かく雨の多い時期が繰り返しやってきます。
また、赤道付近は砂漠で雨が少ない地域になっています。
こうした自然変化は宇宙のいたるところで起きているのでしょう。
そう思って夜空を眺めると地球という孤独な存在が、それほど孤独でもない気がしてきます。
そしてまた、過酷な運命が地球を襲うかもしれないことも予感できます。
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図1 タイタンの北極の地形、青い部分がメタンの海。 (提供:NASA)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/557-fig1.jpg
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図2 メタンの循環
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本文終わり
パワポ
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